プロ野球東北楽天の本拠地はかつて両翼が狭かった。グラウンドを広げ、いまの大きさになって投手は思い切りがよくなった。球場を音楽ホールに置き換えても不思議と通じるものがある
▼楽都をうたう仙台市の市青年文化センターは仙台フィルハーモニー管弦楽団の拠点。客席800と小さく、定期演奏会を2回に分けている。音響の良さはピアノの国際コンクールで実証済みだが、オーケストラの大音量は響き過ぎて音の出し方に気を使う▼街中となれば、宮城県民会館の名で親しまれた並木道のホールだろう。1600席で企業の冠の付いた大舞台が多い。著名なピアニストと仙台フィルとの競演でのこと。音はさっぱり伸びず、いら立って鍵盤を強くたたいていた
▼50年前の建物に無理を言わないで、と誰か教えればいいのに。「帯に短し たすきに長し」にファンは不満という。中心部に2000席の新しいホールを造りたいと経済界が動き始めた▼「中小を含めた数だけみれば十分ある」「復興優先」と意見はさまざまである。県や市、大学などがばらばらに造るから中途半端という点では異論がない。音楽の力が被災者を救ったのは認めるところ。縦割りをやめて知恵を出し合ってはどうか。スポーツで、うまく歩調を合わせているように。
2015年01月07日水曜日