米 北朝鮮に金融制裁 サイバー攻撃に対抗1月3日 4時11分
アメリカのオバマ大統領は、ソニーの子会社へのサイバー攻撃など北朝鮮の挑発行為への対抗措置として北朝鮮の政府機関や企業、そしてその関係者らに対し、金融制裁を科す大統領令に署名しました。
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」を制作したソニーのアメリカの子会社「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」は去年11月、コンピューターシステムがサイバー攻撃を受け、幹部のメールがインターネット上に流出するなどの被害が出ました。
これについてアメリカ政府は、北朝鮮が関与したと断定しており、オバマ大統領は2日、このサイバー攻撃を含むこれまでの挑発行為への対抗措置として、北朝鮮の政府機関や企業、そしてその関係者らに金融制裁を科す大統領令に署名しました。
これを受けてアメリカ財務省は▽北朝鮮の対外工作機関である偵察総局と▽武器の取り引きやミサイル開発に関わっているとされる貿易会社2社、それに▽これらの会社の幹部ら10人を制裁対象に指定し、アメリカ国内の資産を凍結するとともに、アメリカの企業や個人に対し、これら制裁対象との取り引きを禁止しています。
これについてホワイトハウスのアーネスト報道官は声明で、「北朝鮮に対しては適切な時期にわれわれのやり方で相応の対応をしていく。これは最初の対抗措置だ」として、今後、さらなる対抗措置を検討する構えをみせました。
問題の経緯
北朝鮮のキム・ジョンウン第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」を巡っては、制作した「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」のコンピューターシステムがサイバー攻撃を受け、幹部のメールが流出するなどしたほか、公開を前に映画館へのテロ攻撃を予告する脅迫文が寄せられ、一時、公開が取りやめとなる事態となりました。
これについて、アメリカのFBI=連邦捜査局は先月19日、サイバー攻撃に使われたソフトウエアが、かつて北朝鮮で開発されたものと似ているなどとして、北朝鮮が関与していると初めて断定し、オバマ大統領は今後、対抗措置をとる考えを示していました。
これに対し、北朝鮮は関与を否定したうえで、「最高尊厳をけなし、テロを扇動する不純な反動映画だ」などとしてアメリカへの反発を強めています。
また、北朝鮮の国内では、先月下旬ころから、インターネットへの接続ができなくなる状況が断続的に起きており、北朝鮮側がアメリカの関与を主張する一方で、アメリカ政府は、「提供できる情報が無い」などとしています。