フリーライター西森の孤軍奮闘記

働き方・社会問題・時事ネタ・アニメ・メディアなどを中心にしたコラム、物事に対する自分なりの考え方を執筆します。

コンテンツへのお金の払い方が変化している

皆さんこんにちは。西森です。

 

一昨日・昨日と続けてコンテンツの話、特にコンテンツを作る側の話を続けてきました。今回はその締め括りとしてコンテンツを楽しむ側の変化についても触れてみたいと思います。

過去記事はこちら↓

CMのコンテンツ化が急激に進んでる - フリーライター西森の孤軍奮闘記

これからの広告はコンテンツに溶け込んでいく - フリーライター西森の孤軍奮闘記

 

これまでのコンテンツは「権利を買っていた」

これまである一つのコンテンツを楽しむためには、それを観たり聞いたり読んだりするための「権利」を買う必要がありました。

ですから、その作品の面白い・面白くないに関わらず誰もが一律で同じ金額を要求され、それを支払った人に対してのみコンテンツが提供されてきたわけです。

確かにこのシステムは非常に単純で、不公平感もありません。コンテンツ産業にとっては効率的な収益確保システムだったといえます。

 

コンテンツ無料化の理由

しかし、これまで私が再三述べてきたように、多くのコンテンツは「無料化」へと舵を切っています。漫画も無料。ニュースも無料。そもそも昔からテレビは無料を貫いてきました。

 

さて、なぜこのような動きが活発化してきたのでしょうか?その理由の一つは、有料のコンテンツ(=権利を買うコンテンツ)に
「もし面白くなかったらどうしよう」
という不安が付きまとっているからです。

 

先ほども言ったように、有料のコンテンツ(=権利を買うコンテンツ)は「誰もが一律で同じ金額を要求」されます。つまり、購入してみた結果、それを面白いと感じた人も、面白いと感じなかった人も、対価として同じ金額を払っていることになるのです。

満足していないのにお金を払う。コンテンツはクーリングオフできないので、この損はどうやっても取り返せません。

結果、我々の心理は、面白くないかもしれない(わからない・知らない)ものに対してお金を払おうとはしなくなります。既に面白いと知っているものやみんなが面白いと言っているものにならお金を払いますが、これでは新しいコンテンツは育ちませんね。

 

ですから、コンテンツを楽しむための権利を無料にすることは、新たなコンテンツを生み出すうえで非常に効果的であることがわかります。

 

個人の満足によって報酬を支払う

ここまで、コンテンツを楽しむための「権利」自体は無料の方が良いという話をしてきました。しかし、ビジネスとしてコンテンツを作り出している以上、他の所で収益を得る必要があります。

ここでは、その具体的な事例をいくつかご紹介します。

 

スペインのお笑い劇場が行った「Pay per laugh」という試み

「Pay per laugh」というのは文字通り、「笑った分だけお金を払う」というものです。劇場への入場は無料。席ごとに設置されたカメラで観客一人一人の表情を撮影し、「笑顔」の回数によってお金を払ってもらいます。

ちなみにこの試みは大成功を収めました。これまで取っていた入場料を上回るお金を、観客の満足から得られたというわけです。


Gold Mobile cannes Lions 2014 / PAY PER LAUGH ...

 

無料Web漫画の単行本化

日本でもこれに似た事例が既に起きています。それが、無料漫画アプリで配信されていた無料漫画を、単行本化して販売するという試み。これは、私も利用している「comico」というスマホアプリの事例です。

多数の作品が連載されている「comico」の中でもダントツの人気を誇っているのが、『ReLIFE』という作品。


ReLIFE | 夜宵草 - comico

この作品はまだ連載継続中ですが、1話から最新話までいつでも無料で読むことが可能。

そしてこの『ReLIFE』は、2014年8月から単行本化もされており、第一巻・第二巻の累計販売部数は40万を超えています。

ReLIFE (アース・スター コミックス)

ReLIFE (アース・スター コミックス)

 
ReLIFE 2 (アース・スター コミックス)

ReLIFE 2 (アース・スター コミックス)

 

元々無料で読めるのに、なぜ有料化した単行本がここまで売れたのか?それは、そもそも読者が
「ReLIFEは面白い」
ということを理解していたからだといえます。

 

単行本化に当たって、無料版にはない特別編を差し込んだり、店頭で購入すると限定グッズの得点が付いてきたりといった付加価値を付けたことも、もちろん要因の一つですが、何よりも読者が無料版の本編に対して大きな満足を得たことが大きかったというわけです。