日本の1人あたりGDPが急降下。そろそろ貧しさが顕在化してくる?
日本の1人あたりGDP(国内総生産)が大きく順位を落とし、OECD(経済協力開発機構)加盟国中19位となったことが明らかになった。主要7カ国の中では6位となり、下にはイタリアしかいない。日本の購買力が確実に低下していることが分かる。
内閣府は2014年12月25日、2013年度のGDP確報値を発表した。それによると2013年の名目GDPは4兆9207億ドルとなり、世界GDPに占める割合は6.5%になった。2012年は5兆9526億ドルで、世界GDPに占める割合は8.0%だったので、大きくシェアを落としたことになる。円ベースの名目GDPは基本的に横ばいなので、2013年にランクを落としたのは、円安による影響が大きい。
これに伴って豊かさの指標である1人あたりGDPも大きく低下しており、2013年は前年から8000ドル以上減少して、3万8644ドルとなった。OECD加盟国中の順位は13位から19位に後退している。主要7カ国では6位で、日本より下はイタリアしかない。
日本以外の主要国の多くは、ここ10年の間に名目GDPを自国通貨ベースで1.3倍から1.5倍程度に増やしているが、日本は横ばいのままである。自国通貨ベースでのGDPが伸びない中、円安が進んだことでドルベースでのGDPは大きく減少した。
1人あたりのGDPが減少することは、日本人の購買力が減少しているということであり、端的に言えば、日本が貧しくなったことを意味する。かつて日本では無理に経済成長する必要はないという議論も見受けられたが、ここまで購買力が落ちてくると、そろそろ、生活実感として貧しさが顕在化してくる可能性が高い。
数年前までは、海外旅行に行った人が、思いのほか現地の物価が高いことに驚く程度だったが、最近では輸入食材などが軒並み値上げとなっており、購買力の低下を実感する人も増えてきた。またパソコンなど、輸入依存度が高く、国際的な一物一価が徹底している商品の購入者も同様の感覚を持っているはずだ。
日本は、2000年まで多くの年で1人あたりGDPが主要国中1位だった。その後、日本の順位は急落し、2007年には主要国中最下位に転落。リーマンショックによる他国の落ち込みで一時は回復したが、2013年には再び順位が急落している。
米国はこの間、一貫してトップクラスを維持しており、米国の豊かさは突出していることが分かる。また最近では好調な米国経済を背景にカナダの順位も急上昇している。
今後、しばらくは米国経済が一人勝ちとなる可能性が高く、カナダと米国が相対的に有利な状況が続く。当面は、北米経済圏の利益をどのように日本に取り込んでいくのかという工夫が必要となる。北米市場への積極的な進出は有力な手段のひとつといってよいだろう。