iPS開発、ゲームで挑戦 山中京大教授もアニメで登場
iPS細胞(人工多能性幹細胞)がどのように開発されたかを楽しく学べるタブレット端末「iPad」用のゲームが、京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授の監修で制作された。iPS生みの親である所長の山中伸弥教授や高橋和利講師らがアニメで登場し、生命科学の歴史に名を残す画期的な発明に至った思考を追体験できる。来年3月28日~4月5日に神戸市で開かれる日本医学会総会の公開イベント「未来医XPO」で展示される。
ゲームのアプリケーション名は「iPS MASTER(マスター)」。山中研究室の一員として実験を始めるところからスタートする。体細胞をiPS細胞に変化させるのに必須の遺伝子を24種類の候補から絞り込む設定で、画面をなぞって各遺伝子を体細胞に入れる実験をしていく。
例えば、1種類ずつ試して成功せず困っていると、高橋講師が「24種類全てを入れよう」と提案してくれる。さらに高橋講師のアイデアを基に、いわゆる「山中4因子」と呼ばれる4種類を特定してクリアすると修了証が画面に表示される。ゲーム内では実験ノートへの書き込みとその考察が求められ、山中教授は「重要な資料だから丁寧に書くように」と随所で指導する。
ゲームの制作は、科学に関するコンピューターグラフィックを制作する企業「サイアメント」(東京都)代表で医師の瀬尾拡史さんが担当、黒田知宏京大教授も監修に加わっている。山中教授からiPS細胞の開発の経緯をあらためて聞き取ったという高橋教授は「トリックなんかない。やるべきことを理屈立ててやった結果としてiPS細胞はできた。ゲームを通してサイエンスの楽しさに触れてほしい」と話す。
未来医XPO終了後は、京大iPS細胞研究所(京都市左京区)で展示し、一般の人もゲームで遊べるようにする。
【 2014年12月30日 08時46分 】