NTTドコモは5日、インドにおける携帯電話事業からの撤退に関連し、英ロンドン国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てたと発表した。同社は2014年4月に不振が続くインド事業からの撤退を決定。合弁会社の株式売却に向けて提携先の現地財閥大手、タタ・グループと調整を進めてきた。当事者間の交渉が不調に終わり株式を売却できない状態のため裁判所に仲裁を委ねる。
ドコモは09年にタタ・グループの携帯会社、タタ・テレサービシズ(TTSL)に約2600億円を出資し、出資比率約26%の株主として経営に参画した。ドコモが事業から撤退する際は同社の保有する株式の譲渡先をタタ・グループが仲介する協定を結んでおり、仲裁を通じてこの履行を求める。
ドコモは00年前後に米携帯大手のAT&Tワイヤレスなどに出資したが、インターネットバブルの崩壊などにより海外戦略は頓挫した。海外戦略の再始動となるインド進出では、事業から撤退する際の手続きをあらかじめ決めるなどリスク回避を重視した。それでも円滑な撤退を実現できず、先行きの不透明感が高まっている。
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