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借金整理のおもな手段
主なものは任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つです。これらは借金を支払うことを前提にした解決手段か否か、裁判所を利用して行う手続きか否かの違いがあります。
任意整理 | 借金を支払う | 裁判外の手続き |
特定調停 | 借金を支払う | 裁判上の手続き |
個人再生 | 借金を支払う | 裁判上の手続き |
自己破産 | 借金を支払わない | 裁判上の手続き |
訴訟をしないで解決する任意整理
任意整理は弁護士が裁判所を介さず各債権者と交渉し、支払額や支払い方法の合意をとるやり方です。裁判所を通して解決する法的整理に対し、裁判所を通さず訴訟外で解決を試みることから任意整理(私的整理)と呼ばれています。
一方、特定調停は支払いが厳しくなった債務者が裁判所の仲介で債権者と話し合い改めて支払い方法を合意する手続きで、手続きは特定調停法に基づき簡易裁判所で行われます。
特定調停は平成12年に施行された手続きで弁護士に頼らず自力で借金整理を行うというのが大きな特徴です。
任意整理と特定調停は支払う債務額や過払い金回収では、任意整理のほうが債務者にとってメリットが大きいので弁護士が特定調停手続きを申し立てるのは例外的な場合に限られます。
特定調停は裁判所の仲介で解決する
過払い金が発生するのは出資法と利息制限法のためですが業者が出資法を根拠に請求していた高利息は認められなくなり現在は低利息しか認めない利息制限法を根拠とした利息しか認められません。この元の残高と再計算で出した残額の差額が過払い金です。
特定調停手続きでは、過払い金を回収することはできません。なぜなら過払い金が存在しても調停委員が業者にお金を返すように積極的に指示をしないからです。
業者から「もう請求しません」という約束をとりつけるだけで終わってしまいます。お金を取り戻すには別途自分で業者と交渉するか新たに裁判所に訴えを起こす必要があります。
債権者との間で長期間取引を継続している場合、過払い金発生の可能せがあるので特定調停手続きを選ぶより初めから弁護士などの専門家に依頼したほうが早期の解決に繋がります。
個人再生は法律で定められた金額を支払う
任意整理と個人再生の一番の違いは手続きを裁判外でとるか否かですがケースによって支払額にも違いが生じます。
任意整理は原則として利息制限法で引き直した債務額を支払いますが、個人再生手続きは法律で定められた金額を支払います。
基本的に個人再生のほうが任意整理よりも支払う金額が少なくなる傾向がありますが手続きにかかる時間や弁護士費用を考えると、どちらが得かは一概には判断できません。個人再生手続きのほうが手続きにかかる時間が長いので弁護士に支払う費用が高くなる可能性があるからです。
自己破産手続きは借金を支払わなくてよい?
特定調停と個人再生と自己破産は、すべて裁判所で手続きを行うので資産状況、債務を抱えるに至った経緯など、詳細に裁判所に報告しなければなりません。
しかし、自己破産手続きが他の手続きと違うのは借金を支払わなくてすむ手段ということです。任意整理、個人再生手続きが原則として借金を支払うことを前提としていますが自己破産手続きは債務者にとって最も都合の良い方法といえます。
ただ自己破産手続きの場合でも一定額の積立金を積み立てる必要がありますが、生活苦や病気などで借金をしている場合は、積み立てる必要はありません。
それでも債務額に比べれば積み立てる額は少なく設定されている(東京地裁は原則として20万円)ので自己破産手続きが返済負担の少ない借金解決法であることに違いません。