大晦日にばらまかれたカネ、4分の1を回収 /大邱

古物商営む祖父が稼いだ金、精神疾患の孫がばらまく
事情知った警察が呼び掛け、1週間足らずで4分の1を回収

大晦日にばらまかれたカネ、4分の1を回収 /大邱

 2014年最後の日である先月31日午後7時35分ごろ、大邱市達西区の達西警察署ソンヒョン地区隊(日本の交番に相当)に30代の男性が現れ、しばらくためらった末にドアを開けて中に入った。警察官が用件を尋ねたのに対し男性は「2日前、西部バスターミナル付近を歩いていたときに金を拾ったが、テレビで事情を知り、届けに来た」と言い、封筒を差し出した。オ・ジュンソプ警衛(警部に相当)が封筒を開けたところ、中には5万ウォン(約5000円)札20枚が入っていた。ぎこちない様子の男性は「名前は聞かないでくれ」と言って静かに立ち去った。

 軽度の精神障害を持つ大邱市内の20代の青年が路上に800万ウォン(約87万円)をばらまき、それを拾った市民が、青年の家族の事情を知って、拾った金を届けに来る「良心の列」が続いている。

 「現金ばらまき事件」は先月29日、大邱西部バスターミナル(達西区ソンヒョン洞)前の往復8車線の道路で発生した。横断歩道を渡っていた無職の男性(28)が突然、5万ウォン札160枚をばらまき、通行人数十人がそれを拾った。4分後に警察官が出動したときには、路上にばらまかれた現金は全てなくなっていた。

 警察の調べによると、この金は男性の祖父と両親が古物商を営んで稼いだもので、男性が銀行から引き出してかばんに入れていた4700万ウォン(約510万円)の一部だった。男性は「多額の金を持っていることを知らせれば、誰かが自分を殺してくれると思い、路上に金をばらまいた」と供述した。大邱地方警察庁はこのような事情をフェイスブックやマスメディアで説明し、市民に対し、拾った金を返還するよう呼び掛けた。

 その後、金を返しに来る市民が続々と現れた。31日、前出の30代の男性が100万ウォン(約11万円)を返還してから1時間後、40代の女性が5万ウォン札3枚を持ってソンヒョン地区隊にやってきた。2日後の今月2日には、30代の男性が50万ウォン(約5万4000円)、60代の女性が5万ウォンを持ってきた。3日にも60代の男性が30万ウォン(約3万3000円)を持ってきた。これまでに返還された金は200万ウォン(約22万円)に上った。ばらまかれた800万ウォンのうち、4分の1が1週間足らずの間に返ってきたというわけだ。警察は返還された金を全て、ばらまいた男性の家族に渡した。

 ソンヒョン地区隊の警察官たちは、より多くの人々の「良心」に期待している。オ・ジュンソプ警衛は「何日もたっているので、返すのは恥ずかしいと思うかもしれないが、大邱市民の良識と良心が生きているということを示してほしい」と訴えている。

大邱=朴円秀(パク・ウォンス)記者
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