はやぶさ2:探査の小惑星1999JU3…悩ましい命名

毎日新聞 2015年01月05日 10時53分(最終更新 01月05日 12時18分)

小惑星1999JU3に到着し、観測する探査機はやぶさ2の想像図=池下章裕氏提供
小惑星1999JU3に到着し、観測する探査機はやぶさ2の想像図=池下章裕氏提供

 ◇「神話由来」足りず…JAXA

 小惑星探査機「はやぶさ2」が先月、宇宙へ旅立ち地球と火星の間にある小惑星「1999JU3」に向かって飛行している。現在の暗号のような小惑星の呼び名は「仮符号」と呼ばれ、正式な命名はこれから。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は公募も含め検討しているが、小惑星の命名は国際天文学連合(IAU)の詳細なルールを守ることが求められ、「良い名前を選ぶのも簡単ではない」と頭を悩ませている。【永山悦子】

 ◇ルール順守必要

 小惑星は既に60万個以上見つかっている。発見者は米ハーバード大などが運営する「小惑星センター」に連絡する。すると発見年月、発見順などから自動的に仮符号を与えられる。その後の観測の結果、間違いなく新しい天体だと認められると小惑星番号が付く。1999JU3は、米国チームによって1999年5月10日に発見され、小惑星番号は「162173」だ。

 ここまでくると、具体的な名前を付けることができる。小惑星の命名には別表のような条件がある。IAUが発見者からの提案を検討し、承認されれば正式名称となる。ルールを守りつつユニークな名前もあり、「ジェームズボンド」「仮面ライダー」という小惑星もある。

 一方、1999JU3のように地球に近付く軌道を持つ小惑星(地球近傍小惑星)には、神話にまつわる名前を付けるのが慣例だ。2016年に打ち上げられる予定の米航空宇宙局(NASA)の探査機「オシリス・レックス」が目指す小惑星「ベンヌ」は、エジプト神話の不死鳥から名付けられた。

 ◇イトカワは人名

 ところが、多くの神話由来の名前は既に付けられている。日本の神話由来の「イザナギ」「アマテラス」「ヤマタノオロチ」などは既にある。初代はやぶさが05年に着陸した「イトカワ」も地球近傍小惑星だ。当時の文部科学省宇宙科学研究所(現JAXA)内では当初、「スサノオノミコト」などの候補も挙がった。最終的に、日本初のロケットを作り「日本のロケット開発の父」と呼ばれる故・糸川英夫博士の名にちなんだ。はやぶさのプロジェクトマネジャーを務めた川口淳一郎・JAXAシニアフェローは「神様の名前ではとても足りない状態だった。はやぶさは工学実証機だったので工学者の名前を、と検討した」と振り返る。IAUも、偉人の名前を例外的に認めているという。

 ◇希望持てる名に

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