礒部修作
2015年1月5日01時54分
九州南端の大隅半島・鹿児島県肝付町に宇宙航空研究開発機構(JAXA)内之浦宇宙空間観測所はある。
近くの町立内之浦小学校(児童数83人)で目を引くのは巨大なロケットの模型だ。1962年に観測所ができて3年後、PTAが明るい未来を願って建てた。「ロケットに集まれ」。内村英人教頭(51)の校内放送での呼びかけに、児童たちがうれしそうに駆け寄る。
ロケットは今も学校のシンボルで、町民の誇りだ。
■パレードで成功祝う
内之浦は「日本の宇宙開発の父」と呼ばれた糸川英夫博士(1912~99)が、60年に全国を行脚して見つけた。当時、ロケットは秋田県から日本海側へ打ち上げていたが、性能が向上し、広い太平洋側に発射場を移す必要があった。
町内には本土決戦に備えた要塞(ようさい)跡が残っていた。「軍事目的ではないか」との町民の警戒心を、博士自ら「科学技術発展のため」と説明し、解きほぐしていった。「そこから糸川先生たちと町民の二人三脚が始まったようです」。町産業創出課の渡会実課長(55)は言う。男性が出稼ぎで留守がちだったため、婦人会の女性たちがツルハシを手に道路建設に汗を流した。
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