以下のニュースを読みました。就活で自殺してしまった息子さんを持つ父親の声であり,その思いがよく伝わります。私自身も先輩を無くしているので,「自分を責める」という感覚はよく分かります。
人生を諦めるということ~ある先輩との別れ - いつか朝日が昇るまで
そして親族としては以下のように感じたようです。
就活生の自殺を防ぐにはどうすればいいのか。昭さんは「私も息子も、就職するなら正社員でなければならないと思い詰めたことが落とし穴だった。親が子に多様な生き方を提示するとともに、異変を感じた場合はいったん就活を休ませることも必要だ」と話した。
「あー、いつまで就活するんや、俺」自殺の1週間前ブログで苦悩を吐露…救えなかった自分を責める家族(1/2ページ) - 産経WEST
私自身,正社員には一度もならずバイト生活を送ってきましたが,残念ながら現状では多様な生き方が許容されている社会ではないと思います。本来,多様な生き方ができる社会は多様性を提示するとか認めるとかそういう話ではなく,すでにそこに存在しているものです。多様な社会ではそれは単に選択の問題なんですよね。でも日本はそうではありません。
実際にバイトなどで生活していると肉体的にも精神的にも生きづらいので,正社員になろう,でも正社員になれないから苦しいとなっているわけです。だから解決策として以下のような意見が出るのも当然です。
就活自殺は被害と加害の関係がはっきりせず、大学や家庭も事実を内密にするため、問題が表面化しにくいといい、森岡名誉教授は「対策はもちろんだが、根本的には学生が安心して就職できる正社員の雇用量を確保する必要がある」としている。
大学生「就活自殺」7年で200人超 思うように内定得られず追い詰められ… 専門家「解決には雇用環境の改善必要」(2/2ページ) - 産経WEST
多様性を追求するよりも正社員の雇用量を増やせ,それこそが解決策だとなるわけですが,実際にはそれだけで就活に苦しむ学生を無くすことはできないのは確かでしょうね。だから様々な生き方を許容できる社会にするべきだと思うのですが,これが難しいのはそういう生き方を許容するとフリーライダーが出てきて必ず批判が起こるんですよね。まさにこれ,生活保護の不正受給に端を発した生活保護批判として実際に起こりました。
それで多様な社会というのはフリーライダーがいたとしても,多様性を守るべきだという主張がなされないといけなくて,一個人が多様性を提示したり,認めたりすることで実現できるものでもないんですよね。そういう社会の中で生きているのだから,多様な生き方が就活で苦しむ人たちの解決策にならないと思うわけです。
私は幸運にも生きていくことができているわけですが,何か特別な能力があったわけではありません。ただ人に対する感謝は大変重要かと思います。詳しくは以下の記事をご覧ください。
私が正社員にはなれないなと思った8つの理由 - いつか朝日が昇るまで
バイトを20年してきて大変だなと思う6つのこととその対策 - いつか朝日が昇るまで
さいごに
結局,多様な生き方をしていくというのは社会に認められないことを前提にしていかないといけないんですよね。だから就活自殺を防ぐって結局制度的に就活が負担にならないような制度,新卒一括採用を見直すぐらいしかないのかもしれません。ただそうは言っても就活辞めたいという人はいるので,そういう人のためのセーフティーネットを目に見える形で整備すべきです。
個人的には就活しなくても,就職できなくても生きられるというモデルケースでありたいけど,そこまでは自信がないし、無責任な助言はできません。でも就活に失敗したときに「こんなやつでも生きているんだ」と思ってもらえると良いな。そんな風に生きています。