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電力も「選べる時代」 太陽光買い取り、サービス多様化

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2014/12/17 7:00
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■太陽光発電事業者の反応はまだら模様

 このように、電力を買い取る側は小売りの全面自由化を見越して着々と準備を進めつつある。では、電力を売る側はどうだろうか。

 現時点では、新電力経由での売電に慎重な太陽光発電事業者が多いようだ。その理由は2つある。一つは、大手10社以外に買い取る新電力が低圧連係では前述のSBパワーとエナリスの2社くらいと、まだ少ないこと。

 もう一つは、いわゆる「九電ショック」(九州電力が2014年9月、既存・新規を含めて太陽光発電の系統接続の回答をすべて保留にした件)以降、国の固定価格買取制度の改訂が行われており、買取価格やそれが決まるタイミングが変更される可能性もあることだ。太陽光発電事業者の多くは、新電力への売電によって何も不利益が生じないことを見極めたいのである。

 例えば、産業用の低圧太陽光発電を手掛けるある事業者は、SBパワーの申請書を取り寄せて検討しているが、こう本音を漏らす。「SBパワーが『4カ月前に発電事業者側に通知することにより受給契約の全部または一部を解除することができる』という条項を見て気持ちが揺らいだ」。

 国による固定価格買い取り制度の改訂も、個人や中小企業を含む太陽光発電事業者にとって懸案事項である。新電力に売電先を変え、万一その新電力が倒産したり、事業を停止したりした場合、元々売電していた一般電気事業者に戻すと買取価格が当初の40円/kWhや36円/kWhではなく、32円/kWhなど現在もしくは今後設定される買取価格になってしまうのではないかと恐れているためだ。

 半面、東電からエナリスに売電先を変更する手続きを早々に済ませてしまい、さらに同社の株式も購入するなど、新電力による電力事業の将来性に賭ける太陽光発電事業者もいる。国の制度改訂が落ち着けば、売電先を買取価格の面で有利な新電力に変更する流れが本格化するかもしれない。

■電力小売は「戦国時代」へ

 このように、太陽光発電の電力買い取りサービスでは、電力自由化を見据えた動きが顕在化しつつある。今後もこういった流れは加速するだろう。電力小売りの全面自由化という、戦後の日本では未経験の制度変革が訪れると同時に、太陽電池や蓄電池の低価格化、電力大手のスマートグリッド導入、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)やM2M(機器間通信)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータなどの技術革新が日々進行中だからである。

 電電公社の時代には画一的なサービスしかなかった電話が、通信の自由化によって消費者が好みの事業者から携帯電話、そして通信サービスも自由に選べるようになった。同様の変化が電力の分野でも始まろうとしている。2016年以降のエネルギー分野における覇権争いの幕は、すでに開いている。

(テクノアソシエーツ 大場淳一)

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太陽光発電、東京電力、エプコ、ソフトバンク、パナソニック、エナリス、九州電力

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