ビキニ水爆実験:船員被ばく追跡調査 福竜丸以外で初

毎日新聞 2015年01月05日 07時30分(最終更新 01月05日 08時54分)

ビキニ水爆実験で漁獲物を廃棄した漁船
ビキニ水爆実験で漁獲物を廃棄した漁船
被曝後、静岡県焼津港に帰港した第五福竜丸=1954年3月
被曝後、静岡県焼津港に帰港した第五福竜丸=1954年3月

 一方、厚労省は昨年の開示記録について、当時の船員の最大被ばく量は毎分988カウントだったとして「2週間同じペースで被ばくした場合の線量は1.68ミリシーベルトで、健康に影響する国際基準(100ミリシーベルト)を下回っている」と説明。被ばくは微量に過ぎず影響はない、と強調する。

 被ばくの影響を巡っては、疫学的な調査では明らかに「健常者との有意な差」(異常)があっても、外部被ばくの線量評価だけで「被ばくはわずか」と影響を否定するという対立がこれまで繰り返されてきた。ビキニでの被ばくに詳しい安斎育郎・立命館大名誉教授(放射線防護学)は「大事なのはとにかく多くの情報を集め、(当時検査していない)内部被ばくを含めた被ばく実態に迫ること。民間では調べられないことでも国なら調べられる。それをする意義は大きい」と指摘。国は調査で「一歩前」に出ることが求められる。【日野行介】

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