遭難スノーボーダー号泣会見「冬の山、こんなに恐ろしいとは」
新潟県湯沢町の「かぐらスキー場」で2日から行方不明になっていた東京都の男女のスノーボーダー3人が4日朝、神楽ケ峰(2029メートル)で県警のヘリに発見、救助された。手足に軽い凍傷を負っているが、命に別条はない。未提出の登山届を「出した」と申告して、コース外に出た3人は「雪に穴を掘って座り、寒さをしのいだ」と説明し「無謀さを反省している」と謝罪している。
雪山で二晩を過ごし、救助されたのは東京都世田谷区のデザイナー・練子広寿(ねりこ・こうじゅ)さん(45)、妻の会社員・真美(まなみ)さん(44)、知人の会社員・山本亜紀さん(40)。救助された後に、新潟県警南魚沼署で会見し、スノボ歴10年の練子さんは「冬の山というのが、こんなに恐ろしいところだとは…」と言葉を振り絞りながら号泣した。
同署と練子さんらの説明によると、3人はスノーボードを楽しむため、昨年大みそかから「かぐらスキー場」を訪れ、近くのロッジに宿泊していた。当初は元日に滑る予定だったが、悪天候で延期。2日午前にリフトでゲレンデを上がり、上部に設置されたゲートからコース外に出て、天然の斜面を滑る「バックカントリースノーボード」を楽しんでいた。
滑るのは5回目で慣れた場所だったが、普段より雪が深く景色が異なったため、同日夕方から道に迷った。山中で夜を迎えると、持参していたスコップで、雪の斜面に全身を覆うほどのサイズの穴(雪洞)を掘って座り、深く眠らないように声を掛け合いながら、防寒用マットで体をくるんで夜を明かした。
3日も吹雪となって下山できなかったため、夜は再び穴を掘り、わずかな量のアメやチョコレート、ゼリー飲料などで空腹をしのいだ。さらに一夜を明かし、4日早朝から山の尾根を歩いていたところ、午前8時50分に県警のヘリに発見された。神楽ケ峰頂上から北約2キロで、スキー場とは反対側だった。
県警やスキー場では、コース外に出る時は登山届の提出を呼び掛けている。3人は元日分の届けは出していたが、2日分は未提出だった。しかし、ゲレンデ上部のゲートに常駐するスキー場の係員には「(ゲレンデ下のスキー場本部で)出しました」とウソの申告をし、コース外へ出たという。