これまで全く特定されていなかった12の発達障害の原因遺伝子を特定することに成功した。
英国健康保険とウェルカム・トラスト・サンガー研究所が協働して行っている「発達障害解読」(DDD)プロジェクトが、国際的な総合科学誌ネイチャー誌オンライン版で2014年12月24日に報告した。
まれな発達障害を持つ子と親を分析
シーケンシング技術の発達により全ての遺伝子の突然変異のうち、タンパク質に関係したもの「エキソーム」を調べつくすことができるようになっている。
今回、この技術を使った分析が行われた。
DDDプロジェクトでは、英国全土およびアイルランド共和国を合わせた24の地域遺伝医療センターの臨床医180人と協力し、1133人の深刻な発達障害を持つ子どもたちの一人一人について2万個以上の遺伝子を分析した。
さらに、親のゲノムからも遺伝子の突然変異の情報を収集した。
特定のタイプの突然変異を有する確率は5千万分の1と言われる。情報技術を用いて、まれな変化を検出して比較可能としたという。
正常な発達を乱す新しい仕組みか?
その結果、12個の新たに特定された遺伝子のうち、4個については、何百マイルも離れて暮らす全く血縁関係のない子どもら2人以上から共通した突然変異であると特定できた。
これらの新たに特定された遺伝子によって、発達障害を新たに診断が可能になる子どもたちの割合がおよそ10%増加すると考えられるという。
新発見の遺伝子の6つについては、ミスセンスの突然変異が集団として効いていると見られた。何らかの強い影響によって正常な発達を乱すような仕組みがあるのではないかと研究グループは見ている。
世界規模の研究さらに続く
DDDプロジェクトは、2010年に開始されたもの。最終的には1万2000家族のデータを分析することになっている。
これまでで目標の約1割に達したところだ。その最初の成果となっている。
研究者グループは、英国だけでなく発達障害の子どもたちについて世界的規模で「デシファー(DECIPHER)」と呼ばれるデータベースを活用して情報をシェア。ビッグデータによる診断の可能性を広げようとしている。
文献情報
The Deciphering Developmental Disorders Study.Large-scale discovery of novel genetic causes of developmental disorders.Nature. 2014 Dec 24 [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25533962
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