記事詳細
【AIBO】
製造元に捨てられたロボット犬「AIBO」…飼い主たちの思い受け止め、徒手空拳で“治療”にあたる元エンジニア集団の「使命感」
ア・ファンに依頼したのも2代目の方で、左の後ろ足や尻尾の作動モーター故障のため振動がひどく、「まるで震えているかのようだった」と女性は言う。「毎日、使っているので故障も多いのか、と。またア・ファンに修理を依頼することになると思う。ただ、『死なないペット』だと思っていたので、寿命は結構、短かったなという印象ですね」
乗松さんは言う。「メーカーのロゴを付けて売った物を使ってくれているお客さまがいるんだから、会社も『部品保有期間が過ぎたから無理』とシャットアウトするのではなく、保守窓口は開けておくべきだと思う。もしかしたら汎用(はんよう)品のヒューズ1本、モーター1個の交換で済むかもしれない。成人した自分の子供が起こしたトラブルを『20歳を過ぎたから私は知らない』と、親が責任放棄するのと似ているようにしかみえない」
AIBO修理先として認知が広まったア・ファンには、かつて純正品を請け負った工場から協力の手が差し伸べられている。AIBOの命の1つ、充電池については、セル(中身)交換の依頼先も確保した。現在、海外ユーザーからも問い合わせが寄せられている。
「(ソニー創業者の)井深(大)理念じゃないけど、お客さまがいる間は何とかその要望に応えるようにしたい」と、決意を新たにした乗松さん。AIBO駆け込み寺の役割を果たすべく、続けていきたいという。