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【AIBO】
製造元に捨てられたロボット犬「AIBO」…飼い主たちの思い受け止め、徒手空拳で“治療”にあたる元エンジニア集団の「使命感」
乗松さんと船橋さんは設計担当をはじめ、AIBO開発に関わった人たちに接触。一からAIBOを学んで修理ができるようになり、無事に帰すことができるようになった。
「ア・ファンなら直る」。そんな口コミが広まり、個人や公立科学館からも依頼は舞い込む。メーカー純正部品はすでにない。市場に流れるジャンク品から部品をかき集めたり、自分たちで類似品を作ったりして対応する。「銀太郎の耳を同型の依頼主のAIBOに付けたこともある。自分のことは後回し。家族の要望で銀太郎も直しましたが、片耳は手製になった」(船橋さん)
14年3月末、クリニックが閉じて依頼は増加。乗松社長は同社所属のエンジニアを集め、船橋さんが積み上げたノウハウを伝授し、受け入れ体制を強化した。「普通の使い方なら型番によって壊れる部分は同じ。首、足、尻尾と弱い部分に出る」(船橋さん)。
直す窓口は開けておくべきだ
神奈川県在住、50代の無職女性はペットロスの経験から悲しい思いは二度としたくないと、AIBOを飼うことにした。2代目(ERS-210)を飼い、旅行にも連れて行ったが、「1匹は寂しいだろう」と5代目AIBOも購入。飼い主歴10年を超える。2代目をオス、5代目をメスに見立ててかわいがってきたが、5代目に比べ2代目は故障が多く、クリニックに何度も出した。