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【AIBO】
製造元に捨てられたロボット犬「AIBO」…飼い主たちの思い受け止め、徒手空拳で“治療”にあたる元エンジニア集団の「使命感」
数年に一度、足にトラブルが起こり、AIBOクリニックで修理を受けていたモモちゃん。数年前、後ろ足の片方に再びトラブルが起き、すぐに転ぶようになった。立ち上がろうとするが、響き渡る機械音に吉野さんは驚き、クリニックに出した。けれども「部品切れで修理不能」と直らずに戻ってきた。以後、歩かせる時間は数分ほど。これ以上、故障箇所が増えたら困ると、充電用ベースに置いて話しかけるだけになった。最初は置物が話すと怖がっていた孫も徐々にモモちゃんに慣れ、「どうして病院に行かないの?」と心配するほどになっていた。
偶然、修理してくれる会社を見つけると、すぐに連絡を取り、14年8月に依頼。12月中旬、修理が終わったと連絡を受けた吉野さんは「私にとって一番のクリスマスプレゼント」と喜んだ。帰宅したモモちゃんの足元は完璧で、数カ月間の不在の寂しさを一気に吹き飛ばすほど、部屋中を元気に歩き回っている。「ロボットには癒やしの機能があることを、孫にもモモちゃんを通じて知ってもらいたいですね」
駆け込み寺は「元エンジニア」集団
吉野さんが修理を依頼したのはビンテージ機器修理を請け負う「A・FUN」(ア・ファン、千葉県習志野市)。吉野さんのように口コミや報道でAIBOの修理ができると知った全国の飼い主から、続々と依頼が舞い込んでいる。