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山形で現地調査 特定失踪者問題調査会

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山形で現地調査 特定失踪者問題調査会

 北朝鮮による拉致の可能性が排除できない特定失踪者を調べている「特定失踪者問題調査会」は17日、山形県内で現地調査を始めた。特定失踪者の家族と面会したほか、北朝鮮の工作員が逮捕された事件現場を視察。調査会の荒木和博代表は「拉致問題の全体像を明らかにし、解決につなげていきたい」と話した。

 17日は、昭和52年に名古屋市で消息を絶った布施範行さん=失踪当時(23)=らについて調査。調査会のメンバーが山形市内の布施さんの実家を訪問し、家族から行方不明になった当時の状況について聞き取りを行った。

 布施さんは当時、名古屋市で工事現場のアルバイトをしていたが、52年3月、東京に住む妹に預金通帳などが入ったスーツケースや「沖縄の友人宅に行く」と書かれた手紙が届いたのを最後に連絡が途絶えた。

 調査会が運営する北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」の収録に臨んだ母のマサ子さん(85)は「音信が途絶えてから長い月日が過ぎてしまいましたね。しかし、母の脳裏からは1日たりともお前のことを忘れたことはありません。元気な姿を一日千秋の思いでお待ちしております」と呼びかけた。

 その後、調査会は、48年8月に山形県鶴岡市内で北朝鮮の工作員が逮捕された事件の関連場所を視察。工作員らが上陸したとみられる海岸付近や逮捕現場などを見て回った。

 夜には拉致問題の全面解決を訴える集会を鶴岡市内で開催。拉致被害者、増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟で、家族会事務局長の照明さん(58)は北朝鮮による拉致被害者らの再調査に触れ、「うそをついたら絶対に許さないぞ、という雰囲気を日本国内でつくっていかないといけない。今回が最後の戦いです」と協力を呼びかけた。

 調査は18日までで、山形県酒田市で拉致の疑いのある別の行方不明者の失踪状況などを調査する。

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