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<母校の名画>価値数億円? 村山槐多「乞食と女」捜索中

毎日新聞 1月4日(日)10時30分配信

 天才と言われながら22歳で早世した大正期の洋画家、村山槐多(かいた)(1896〜1919)の油絵「乞食(こじき)と女」を出身校の旧制京都第一中学校(現京都府立洛北高校、京都市左京区)のOBらが捜している。死後に同級生らが買い戻し、1920年に同中に寄贈されたが、戦後の混乱の中で所在不明になった。先月から実物を見たことがある80〜100歳代のOBらが、画集をもとに約30万円かけて原寸大の複製画を洛北高で展示。「所有者や目撃者が名乗り出てくれれば」と期待する。

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 槐多は母親の知人の文豪、森鴎外が名付け親とされる。同中卒業後に上京し、その作品は日本画家、横山大観にも認められたという。当時猛威をふるっていたスペイン風邪(インフルエンザ)にかかり、結核性肺炎で亡くなった。

 不明の絵画は縦165センチ、横66センチ。並木を背景に、和服姿の女性が道端の少年に施しをする様子が描かれている。1917年までに描き上げられ、作家の有島武郎が愛蔵した時期もあったとされる。

 OBの一人で作家、文芸評論家の稲垣真美(まさみ)さん(88)=東京都=によると、少なくとも1938年から数年は学校の講堂に飾られていたが、戦後学制改革の混乱の1948年、図画の準備室から額だけ残して何者かが持ち去ったという。

 約20年間調べてきた稲垣さんは「戦後、これほど長い間所在が分からないということは、コレクターではなく一般家庭にあるのではないか。無事残っていることだけでも確認したい」と話す。

 槐多の水彩、油彩画など約40点を所蔵する信濃デッサン館(長野県上田市)の窪島誠一郎館主(73)は「槐多の女性観、人生観が集約された傑作中の傑作で、現存すれば数億円の値段がつくのではないか」と話している。

 同窓会に連絡すれば複製画の見学が可能。平日午前10時〜午後4時、同窓会(075・712・0375)。【土本匡孝】

最終更新:1月5日(月)0時9分

毎日新聞

 

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