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【日本人の座標軸(25)】
ヒトのDNA情報量は百科事典千冊分…「有り難い」の本当の意味を忘れるな
逆に言えば、人の命がいかに尊い存在かということである。ヒトの身体は約60兆の細胞からできていて、そのほとんどの細胞には核がある。その核の中には23対46本の染色体がある。これをときほどいていくと、DNAにたどりつく。遺伝子と呼ばれているものである。
ヒトのDNAの化学構造は、はしごをねじったようなラセン構造をしていて、はしご段にあたるところはたった4種の塩基で構成された28億対の塩基からなり、このラセンの直径は2ナノメートル、長さは1・8メートルもある。情報量にすると百科事典で千冊分に相当するという。
もう何年も前から、ヒトのDNAの塩基配列の解読が進められているが、仮に1日千個解読したとしても、八千年を要するというアポロ計画に匹敵する大変な作業であるという。1965年以降のノーベル賞受賞者の約半数はDNAに関する研究であったそうだ。
■足立勝美(あだち・かつみ) 兵庫県立高校教諭、県立「但馬文教府」の長、豊岡高校長などを務め、平成10年に退職。24年、瑞宝小綬章受章。『教育の座標軸』など著書多数。個人通信「座標」をホームページで発信。養父市八鹿町在住。鳥取大農学部卒。76歳。