欺罔とは -意味/解説/説明 | 弁護士ドットコムで法律用語をわかりやすく

欺罔

読み方:ぎまん

欺罔とは、だまして人を錯誤に陥れること、または人を欺く行為を意味する。

欺罔には、積極的欺罔(虚偽の事実の表示)と、消極的欺罔(真実を告げないこと)とがある。

欺罔行為、錯誤、錯誤に基づく処分行為、詐取という因果経過を辿ると、詐欺罪が成立する。

なお、欺罔行為とは、人に向けられたものでなければならない。
たとえば、自動販売機やJR・地下鉄の券売機のような機械は錯誤に陥ることがないため、ジュースや切符を不正に取得しても詐欺罪は成立せず、窃盗罪が成立することになる。
〈偽造または拾得したキャッシュカードを使って、ATM(現金自動支払機)から金銭を不法に引き出した行為について、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立するとした判例がある(東京高裁昭和55年3月3日判決、札幌地裁昭和59年3月27日=北海道銀行事件)。〉

また、欺罔行為は財物または財産上の利益の処分に向けられたものでなければならない。
たとえば、嘘の電話をかけて家人を出かけさせた後に空き巣に入る行為などは、偽計的手段を使っているとはいえるが、それ自体被害者からの処分行為を目的としたものではない。よって、この場合には窃盗罪が成立することになる。

他方、欺罔行為は挙動や不作為によっても可能である。
・挙動の例:最初から支払う意思と能力がないにもかかわらず、食堂で注文して飲食する行為は「支払意思があるのにないように装って注文する」という作為による欺罔となる(最高裁昭和30年7月7日決定)。
・不作為の例:1000円の釣り銭を渡されるべきところ、売主が勘違いして5000円を渡してきた時にそのことに気が付いたのにもかかわらず、そのまま受け取った場合は不作為による欺罔となる。

※詐欺罪について
人を欺いて財物を交付させ、又は財産上不法な利益を得た者は、詐欺罪として10年以下の懲役で処罰される(刑法246条)。
また、詐欺の未遂罪も処罰される(同法250条)。

<欺罔に関連する用語>
欺罔行為、錯誤、詐欺罪

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