データアーティスト、インターン生の澤海です。

前回からの反省

前回私の書いた、「TVアニメに存在する３つの類型　～アニメの人気度の統計分析～」という記事をアップしたところたくさんの反響をいただきました。とりわけはてなブックマークとTwitterでの反響が大きかったです。分析の甘さなどを指摘いただくコメントもあり、「もっと頑張れば良かった…（´・ω・｀）」と後悔する部分もありましたが、それも含めて多くの方に読んでいただけたことは大きな喜びでした。読んでいただいた皆様、コメント頂いた皆様、本当にありがとうございました。

前回頂いたコメントの中に、「データ分析の会社のインターン生のくせにプログラミング出来ないなんて…」というご意見がありました。完全におっしゃる通りです。なので、今回は少しだけプログラミングを勉強し、Twitterでつぶやかれている好きなアニメに関するツイートを抽出し、テキストマイニングを行うことでネットワーク図を描きました。今回はふざけた要素を排除して真面目にやろうと思います。

ネットワーク図

ネットワーク図を描くのには、以下の指標を使いました。

Jaccard係数といいます。Jaccard係数とは、集合と集合とがどれくらい似ているか（＝どれくらい共通要素を持っているか）を数字で示すものです。これに統計ソフトRを用いてネットワーク図を描くことができました。「#好きなアニメ被ったらRT」というハッシュタグと共につぶやかれたツイートの情報を利用しています。

花火みたいで綺麗ですね、これでめんまの望みも叶えられそうです。円（ノードと言います）の大きさはツイート数を表しています。線でつながっている円と円は、同じツイート内でつぶやかれることが多い作品同士を、同じ色の円のまとまりは、それらが一つのクラスタであることを示しています。ちょうど真ん中あたりに『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないねっ』が置かれており、世界の中心でアイを叫んでいる様相を呈していますが、特に真ん中であることに意味はありません。

図の右上部には大きい円が多いことから、人気作品が集まっていると言えます。特に赤い円のクラスタが最も大きいです。字が小さくてちょっと見にくいですが、作品としては、『日常』、『みなみけ』、『CLANNAD』、『ラブライブ！』、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『らき☆すた』、『ローゼンメイデン』、『Fate/Zero』、『きんいろモザイク』、『化物語』、『けいおん』、『中二病でも恋がしたい!』、『さくら荘のペットな彼女』、『ソードアートオンライン』、『ダンガンロンパ』、『進撃の巨人』といった、ここ10年位を代表するような人気作品が並んでいます。現在の、最も一般的なアニメファンが見るメジャーな作品群クラスタであると言えます。

黄色い円のクラスタには、『あの花』、『とらドラ』、『とある科学の超電磁砲』などの長井龍雪監督作品が並んでいます。そのクラスタを、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』のノードが経由して先の赤色クラスタと、オレンジ色のクラスタにつながっています。オレンジ色クラスタには、『青の祓魔師』、『僕は友だちが少ない』、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』、『ノーゲーム・ノーライフ』、『黒執事』などここ数年の人気アニメ作品があります。作品のラインナップから考えて、恐らく比較的若年層が属するクラスタなのではないかと推測しています。オレンジ色クラスタから、『銀魂』を経由して、『黒バス』、『ハイキュー!!』、『Free!』、『うたプリ』、『テニプリ』、『ブラザーズコンフリクト』などの女性向けアニメクラスタにつながっています。

左端の青系色のクラスタには、『Darker Than Black 黒の契約者』、『ぼくらの』、『NHKにようこそ』、『HELLSING』、『エルフェンリート』、『無限のリヴァイアス』、『カードキャプターさくら』など、90～00年代の作品が並んでいます。このクラスタから、『進撃の巨人』や『ラブライブ』が並ぶメジャー作品クラスタの距離が離れていることから、90～00年代にはアニメを見ていたものの近作はあまり見なくなったやや古参のクラスタであると言えるでしょう。

その隣にある黄緑色のクラスタには、『純情ロマンチカ』、『君に届け』、『ちはやふる』などの少女漫画系作品があり、それを『世界一初恋』が先のオレンジ色クラスタへと繋いでいます。こちらも女性向け、とりわけ若い層のクラスタであることが予想されます。

おわりに

以上のように、ネットワーク図から得られたクラスタを解釈してみました。もちろんこのネットワーク図は全ての視聴者の好みを抽出したものではありません。Twitterをあまり使わない視聴者や、「#好きなアニメ被ったらRT」という自己表現をあまり行わない視聴者層がいることも容易に考えられるためです。

しかし、このネットワーク図を俯瞰して見ると、各クラスタ内や近いノード間では、嗜好に関する共通性を確かに感じます。もしこれを読んでいただいている読者の方の好きな作品がネットワーク図の中にあれば、同じクラスタの作品を鑑賞してみることで好みの作品が見つかりやすくなるかもしれません。

超平和バスターズはずっとなかよし