またしても部活に遅れて来た斉藤一を見て、歳三はキレた。
「貴様、サッカーを舐めてんのか!?それとも俺を舐めてんのか!?」
斉藤は少し考えてから言った。
「サッカーは舐めてない」
…こんのクソ一年がぁ!それじゃ俺を舐めてるってことじゃねえか!
斉藤の頭は金髪になっていた。
「ピンクブリーチがイエローブリーチに変わっただけじゃねぇか!」
斉藤は再び少し考えてから言った。
「人間の髪の色じゃん」
こいつは〜〜〜!!人の揚げ足取りやがって!
しかし、斉藤は実力はあるので、レギュラーから外すことは難しい。
歳三はボランチなので、やり場のない怒りをロングシュートの練習にぶつけた。
その後フットサル方式ではあるが、二手に分かれて、
相手側に回った沖田の一年らしからぬハンパない殺気にびびりつつ、
練習試合が続いていった。
歳三は自分に酔いたくなるくらいの絶妙なパスを出したのだが、
どうも斉藤と呼吸が合わないのだった。
「俺がパスを出す場所を読んでちゃんと走り込めよ!」
歳三はイラついて怒鳴った。
「俺の思う所にパスが来ない」
斉藤はふてくされて答えた。
どうにも議論は平行線をたどるばかりだった。
龍馬は早くヨット部に入部したかったのだが、
顧問の勝が試しにヨットで海に出てみると言うので、授業が休みの日に勝について行った。
「進水式とくりゃあ、決して気ぃ抜くんじゃねえぞ!」
「承知しましたきに!」
二人は勢い良く浜辺でヨットを押した。
海水に浸かったところで、二人してヨットに乗り込んだ。
そしてヨットは――3分後には横倒しになった。
二人はヨットと共に横倒しになったので、頭が海水に浸かった。
「がががぼが」
水中で勝が何か言ったが、龍馬には聞き取れなかった。
「はよう、起きねや先生。何言うたち、聞こえんきに」
龍馬は呆れて言うと、浅瀬に立ってヨットを起こそうとした。
「…やっぱり、ヨットは難しいな」
「この期に及んで、何を言い出すがよ」
「いや、正直、毎週海に来るのも大変だろうしな」
「あしゃあ、別に苦にならんきに」
龍馬はさばさばとそう言うと、ヨットの中の水をバケツで汲み出した。
つづく

(現代版)勝と龍馬と歳三