人工衛星だいち:データで下水調査 アフリカの衛生対策に

毎日新聞 2015年01月04日 14時05分(最終更新 01月04日 15時20分)

イラスト・松本隆之
イラスト・松本隆之

 日本の人工衛星の観測データを、途上国の感染症対策に生かす試みが始まり、途上国や世界保健機関(WHO)の期待が高まっている。宇宙からとらえた地形データをもとに、ウイルスを含む可能性のある水の流れを把握することによって、感染源の調査などに活用できるという。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は昨年7月、WHOの要請を受け、陸域観測技術衛星「だいち」(2011年運用終了)の観測結果から作成した西アフリカの地形データを提供した。だいちは、災害時の被害把握にデータを利用したほか、地球全体の地形データを収集した。

 WHOから求められたのはナイジェリアのデータ。同国では、下水を採取してポリオウイルスの有無を調べ、感染源や流行地域を推定している。しかし、下水道が整備されていないため、下水は地形に沿って流れ、採取地点の選定や排出源の把握が難航していた。

 WHOは、5メートル単位で高低差などを見分けられるだいちに着目。地形データから下水の排出源や流れを割り出し、効率的な採取地点を探せるようになった。排出源の面積が、従来の分析より5倍広がった地域もあったという。WHOは「地形が入り組んだ都市部でも役立つ」と評価している。

 JAXAは今後、エボラ出血熱などの患者を医療機関に搬送する最短ルートを決める際にも、データ活用を提案する予定だ。JAXA衛星利用推進センター国際業務推進室の矢部志津・主任開発員は「衛星データは、標高図や航空写真が整備されていない途上国で需要が高まっている。今後も、公衆衛生分野での活用を提案したい」と話す。【大場あい】

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