挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
海潮鏡 作者:田村 虎之亮

3 旧いもの好き

私はこの間、日産のローレルという車を偶然見かけた。その車体は白で、真四角のセダン。タクシーに使われている同社のセドリックと外見が少し似ている。形式は私は専門家ではないのでよく分からないが、1980頃の物と思われる。その角ばった外見と、古さが妙に私の心を刺激するのだ。私は高校一年で、平成の人ではあるのだが、古いものを集めるのが趣味となっている。
 例えば旧日本軍や国鉄の衣類を私服として着用したり、使う文房具は旧製品を使用したりと、とにかく古いものに惹かれる。
 何故古いものが好きなのか、それは私自身もよくわかっていない。中にはその趣味を貶すものもいる。
 以前そのことを疎遠になった或る友人に相談すると「その趣味をどう馬鹿と言えばいいの、むしろとても素敵なことだと思うけど」と、言われた。私の趣味をよく思ってくれ、褒めてくれた友人は彼女位だったが、その友人とは去年疎遠になってしまった。彼女は、伊丹と同級生で親しい関係にあり、一度会って話したこともあるが、伊丹よりも先に疎遠になってしまったので、依然述べた「行ってはいけない領域」はこのときに成立した。伊丹同様、賢い人だったのだが。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ