2 偽りの果て
先日、音楽の授業があり、楽譜を使用することになっていた。楽譜を忘れたものは起立せよという教師の言葉で、数人立っていた。音楽は二クラス合同で授業をやっており、私は隣のクラスの忘れた人の方を見ていた。私の前の人も忘れていたはずなのだが、何故か彼の足もとには楽譜が置いてあった。いつの間に持ってきたのだろうかと考えていたら。「これはどういうことだ」と教師に問われ、彼は沈黙してしまい、私の組だけ別室に呼び出され、話をさせられた。
聞くところによると、後ろの女子が彼に楽譜を渡していて、それを彼のものとして偽るということで、多くの人はそれを見ていたらしいのだが、私はそのことに全く気が付かなかったのだ。隣のクラスの忘れものをした面々の方ばかりを見ていて、密かにそれが行われていたことに気が付かなかった。彼と楽譜を渡した彼女、それとその行為を見ていた人は謝らされた。男子はほとんど見ていたらしかった。ある人は「お前も見ただろ」と私に言ってきたが、私は見てないのだ。隣のクラスの方ばかり、見ていたのだから。
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