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【上海将棋倒し】
死者数は「神秘的な数字」 上海市当局が報道規制か…地元メディアに原因めぐる批判を禁止
【上海=河崎真澄】中国上海市で36人が死亡した転倒事故で、米国の中国語ニュースサイト博訊新聞網は3日までに、上海市の共産党委員会宣伝部が地元メディアに対し、事故原因について党や政府を批判する報道を行わないよう緊急通達を行ったと報じた。
新華社電などの記事を転載し、現場写真掲載や独自報道は行わないよう規制したという。ネット上では警備態勢の不備を批判する声が相次いでいる。米サイトの報道が事実なら、当局批判の拡大が幹部らの責任問題に発展しないよう、手を打ったものとみられる。
同サイトはまた、中国で起きた過去のさまざまな事故の死者数が「35人」を大きく超えない範囲で当局が発表してきた点を挙げ、今回も「神秘的な数字が再現された」と指摘。死者数の発表に何らかの政治的な意図が働いている可能性を示唆した。2011年に浙江省温州市で起きた高速鉄道列車の追突事故では、一部の車両が高架から落下したにもかかわらず、死者数は40人と発表されている。
将棋倒し事故をめぐって地元メディアは、医療関係者らの懸命の活動や、負傷者を助けた現場での市民らの行動を伝える報道がほとんどで、事故の原因についての追及はあいまいだ。