ここから本文です

「リニア大阪延伸」国費で調査 来年度予算初めて計上へ 経済効果など検討

産経新聞 1月4日(日)7時55分配信

 政府は3日、JR東海が平成39年の東京(品川)−名古屋間の開業を目指して昨年着工したリニア中央新幹線について、大阪まで延伸開業した場合の経済効果などを調べる費用を来年度予算案に計上する方針を固めた。大阪延伸の関連費用を国が計上するのは初めて。政府・与党内にはリニアの前倒し開業を促すため、JR東海が自己負担する建設費を財政支援する案も浮上しており、大阪延伸関連の国費投入は波紋を呼びそうだ。

 来年度予算案に盛り込むのは、リニアを含む高速交通ネットワーク形成の影響をつかむための調査費で、数千万円を計上する見込み。39年の開業を目指す東京−名古屋間と、その18年後に大阪まで延伸した場合の経済効果を調べるほか、リニア全線開業に伴う首都圏・中部圏・近畿圏の一体化が既存の新幹線網などを通じて全国に波及する効果も検討する。

 これまでリニア関連の政府予算は、担当局である国土交通省鉄道局が東京−名古屋間の地下トンネルの防災対策費などを要求し、計上してきた。ただ、同区間は昨年12月に着工しており、今回は概算要求に関連費用を盛り込んでいない。

 このため、政府は来年度予算案の編成過程で、国土の利用や開発を担う国交省の国土政策局が「国土形成計画の改定などに向けた調査・検討」費用として求めている約2億5千万円の中から、リニア関連費用を計上する方針だ。

 国交省は、国や地域づくりの基本方針「国土形成計画」の見直し内容を27年度中にまとめるが、地方創生や国際競争力強化の観点から新しい国土像づくりにはリニア全線開業に伴う影響を取り入れたい考えだ。

 政府は昨年6月に閣議決定した成長戦略に、リニアの早期整備を目指す方針を明記。首相官邸や関西経済界には前倒し開業を求める声も根強く、リニア担当とは別の部局の予算要求の中から関連費用に充てる異例の措置で対応する形。「前倒し開業に直結する意味はないが、政府・与党内の声も念頭にある」(政府高官)という。

最終更新:1月4日(日)9時17分

産経新聞

 

PR