そして特筆すべき点はアルミと鉄という異素材を接合することができることにある。実はアルミと鉄が接触している状態だと電食(つまり電池になって金属が溶解してしまう)でアルミがボロボロになるが、その解決策もすでに確立している。つまり、オールアルミ・フレームほどのコストを掛けずにフレームを含めたボディを部分的にアルミ素材に置き換えることができるのだ。
マツダではすでにRX-8でこの摩擦撹拌接合を実用化しているし、ホンダではサブフレームという大入力を受け持つ部材でアルミ+スチールの摩擦撹拌接合を行っている。現在ではまだ限られた使用範囲だが、やがてこれが拡大採用されていけば、1000キロを切るスポーツカーが難しくなくなる可能性は高い。実はNDロードスターにこの技術はすでに採用されているのではないかとも思っている。だとするとあの重量に納得が行くのだ。いずれにしても新技術のブレークスルーによって、スポーツカーにとって新時代が訪れる可能性がそこにはあるのだ。
(池田直渡・モータージャーナル)