『サイコパス』虚淵玄&深見真、劇場版への思い「1期にやりのこしたことをやろう」
「自分の想像力を超えた場所に辿り着いたシリーズ」。脚本家の虚淵玄(ニトロプラス)が力強く話すのは、アニメシリーズ『PSYCHO‐PASS サイコパス』のこと。共同脚本の深見真とともに、『劇場版 PSYCHO‐PASS サイコパス』の見どころ。シリーズのヒットの理由を語り合ってもらった。
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人々の精神が数値化される近未来で、正義を問われる警察のドラマを描く本シリーズ。TV第1期、2期を経て公開される劇場版では、海外へと舞台を移し、登場人物たちが新たな戦いに身を投じる。1期でのテーマは「武器のない社会での犯罪」。劇場版では「1期にやりのこしたことをやろう」と意気込み、「これまでは、国内の状況しか語っていなかった。控えめに終わってしまっていたアクションシーンを盛りだくさん取り入れようと思い、海外の話になった。とにかく派手なことをやろうと」と虚淵。
深見との共同作業は、虚淵がプロットを上げ、深見がそれをもとに草稿。虚淵が仕上げるというものだそう。深見は、舞台を海外に移したことで、より虚淵色が出たシリーズになったという。「虚淵さんのプロットは驚かせる力がすごい。今回、日本と海外を比較したことにより、1期のテーマ性がより明確になって。劇場版を見てから1期を見ると、『海外はこんなに戦争をしているんだ。やっぱりシビュラないとダメじゃん』といった再認識ができるようになる。大きな視点があるところがすごい思うんです」。
一方の虚淵は、「自分は理詰めで書きすぎちゃうのがひとつの弱点で。情念が足りなくなっていることが自覚できるんです」と口火を切り、「深見さんの書くものには、良い意味でのカオスがあって。理詰めでは出てこないような脱線やノイズがあるからこそ、キャラに情念がこもったり、意外な側面が出せる。深見さんに整理がついていないものを書いてもらって、それを整理していけばうまくいくというのが、本シリーズの手口」とその才能について言及。すると深見は「趣味なんですよ」と照れ笑い。