城崎温泉街で火災、宿泊客ら避難　１人死亡１人不明

　３日午前６時１０分ごろ、兵庫県豊岡市城崎町湯島の城崎温泉街にある電器店「佐藤ラジオ店」から煙が上がっているのを近所の男性が発見し、１１９番した。午前１１時半に鎮火したが、周辺の店舗や住宅など電器店を含む８棟が全焼したほか１１棟の一部が焼け、電器店２階から店主の佐藤正志さん（６６）の遺体が見つかった。

　豊岡北署や豊岡市によると、現場は城崎温泉の中心部で、旅館や土産店など計約２００棟の３階建て木造建築が並び、大半が昭和初期に建てられた。旅館への延焼はなかったが、正月休みで多数いた宿泊客らが避難するなど一時騒然とした。

　電器店に隣接する住宅の女性とも連絡が取れなくなっており、行方を捜している。

　現場近くの旅館の宿泊客らは地元消防の指示で避難。約６０人が市城崎支所に避難した旅館のおかみ（６３）は「正月をゆっくりするために足を運んでくださっているのに」と声を落とし、３０人を受け入れた別の旅館の男性従業員は「客室は満室のため、ロビーで待機してもらっている」と申し訳なさそうに話した。

　現場はＪＲ城崎温泉駅の北約４００メートル。旅館などのほか川沿いには柳と灯籠が並び、記念撮影をする観光客も多い。

　温泉街の古い木造建築は法律が定める防火基準を満たしていないため、豊岡市が国の規制緩和制度を使い、景観を守りながら改築を可能にする独自の耐火、耐震基準作りを進めていたところだった。