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『自然失業率①』三橋貴明 AJER2014.12.16(3)
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三橋経済塾第四期「経済時事」、開講しました。
銀行が開くのが1月5日であるため、お振込み、ID・PD送付は来週からになりますね。すでにお申込みいただいた皆様、ありがとうございます。
さて、昨日に引き続き「言葉」の問題。
まずは、「直間比率の是正」でございます。直間比率の是正と聞くと、
「え? 直間比率の是正はしなければならないんじゃないの?」
と、思われた読者様がほとんどだと思うのですが、それはまさに長年、「直間比率の是正は必要」という刷り込みをマスコミ経由で受けていたためです。直間比率の是正は、単なる政策です。政策に善も悪もありません。「常に正しい」政策など、絶対に存在しないのです。
そもそも、直間比率とは何なのか。直接税(所得税、法人税)と間接税(消費税等)の配分のことです。日本は、いつの日からか、
「直接税の割合が高すぎる。間接税、つまりは消費税の割合を高めるべきだ」
という主張が蔓延り、消費増税を後押ししてきました。ちなみに、↑この手のプロパガンダを広める人たちが大好きなアメリカは、直間比率が「9対1」だったりするので、彼らはあまり「外国を見倣え」とは言いません。「外国を見倣え」の時に持ち出すのは、直間比率が5対5のフランスの例になります。(日本は6対4)
直間比率の是正とは、消費増税を推進する財務省が流行らせたレトリックの一つです。同時に、新古典派経済学など主流派経済学が理想とする税制、
「所得税ゼロ、法人税ゼロ、税金は消費税のみ」
の方向に誘導することができるため、日本では増税派も経団連に代表される財界も、こぞって「直間比率の是正が必要」と言い広め、国民の「常識」になってしまったわけでございます。
間接税、特に消費税の割合が高まれば、財務省は「安定財源」が増えることになります。同時に、経済界は「法人税減税」という果実を得られるわけです。結果、国民経済の成長や社会の安定が犠牲にされることになりますが、それを覆い隠すために「直間比率は是正されなければならない」と、結論が決まった言説が蔓延り、さらに直間比率の是正を正当化するために、
「ヤクザから税金を取ることは難しいが、消費税ならヤクザがベンツを買うときに税金を徴収できる」
と、改めて考えると意味不明なレトリックが使われていました。ヤクザのベンツ購入費など、「国民経済」から見れば間違いなく誤差レベル以下の金額です。誤差レベル以下の金額を是正するために、十数兆円規模の消費税と法人税・所得税の組み合わせ変更を正当化するのは無理がありすぎます。
この手の、
「一見、正しいように見えるけれど、よくよく考えたら分からない。というか、よくよく考えたことがない」
タイプの用語は要注意です。裏に「別の目的」が隠れているケースが、多々あるわけでございます。
引き続き、「同一労働同一賃金」。こちらはもはや、「別の目的」が隠されようともしなくなってきています。
『竹中平蔵氏が非正規雇用について熱弁「正社員をなくしましょう」
http://news.livedoor.com/article/detail/9634197/
1日放送の「朝まで生テレビ!元旦スペシャル」(テレビ朝日系)で、竹中平蔵氏が非正規雇用について論じた。
同番組は、「激論!戦後70年日本はどんな国を目指すのか!」と題し、田原総一朗氏や出演者が生放送で討論を繰り広げる。
番組中盤になると、出演者は「改正派遣法の是非」を議題として、現状の派遣労働者や非正規雇用の地位についてそれぞれの意見を述べた。
その中で竹中氏は、労働省が実施した派遣に対する調査を例に上げ、正社員に変わりたい人と非正規のままでいいという人では、非正規のままでいいという人の方が多い、という調査結果を紹介した。
また竹中氏は、派遣雇用が増加した原因について「日本の正規労働ってのが世界の中で見て異常に保護されているからなんです」と述べ、整理解雇の4要件について触れた。
さらに竹中氏は、同一労働同一賃金について「(実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱね言わなきゃいけない」「全員を正社員にしようとしたから大変なことになったんですよ」と、日本の問題点を指摘した。』
別に、説明が必要とは思いませんが、「同一労働同一賃金」とは、「労働が同じ派遣社員を正社員と同じ待遇にしましょう」という話ではありません。
「労働が同じならば、正規社員を派遣社員と同じ待遇に引き下げましょう」
という話なのです。
昨年の5月、テレビ愛知の「激論コロシアム」で竹中氏と討論した際に、氏ははっきりと、
「正規社員こそが、日本に残された最後の既得権益です」
と、明言されました。
そもそも、日本で非正規雇用が増えたのは、竹中氏らが主導した労働規制の緩和が原因です。自分たちが提言、実行した規制緩和で非正規雇用が増えた結果、「非正規雇用のルサンチマンを煽り、正規雇用にぶつける」形で、最終的な労働規制の緩和を実現しようという話なのです。やり方が、とにかく半端ないです。
竹中路線の労働規制の緩和が進めば、我が国の国民の実質賃金はますます切り下げられ、婚姻率が低下し、少子化がさらに進みます。すると、最終的には「国境を越えたヒトの移動に関する規制の緩和」ということで、日本国は移民国家への道を歩き始めることになるでしょう。と言いますか、すでに歩き始めています。
この種の「日本を壊す」動きに対抗するためには、国民一人一人が「言葉の意味」を真剣に、本当に真剣に考えなければなりません。というわけで、政策のレトリックの問題についても突っ込んでいく三橋経済塾第四期「経済時事」開講
のタイミングでもあり、昨日、本日と「言葉の問題」について取り上げさせて頂きました。
改めて「言葉の問題」の深刻さを感じ取って頂けた方は、
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