サイバー攻撃:ソニーが作品公開を検討…ネット配信など

毎日新聞 2014年12月20日 22時02分(最終更新 12月22日 12時33分)

 【ワシントン和田浩明、ニューヨーク草野和彦】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」について、サイバー攻撃を受けたソニーの映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(本社・ロサンゼルス)は19日、DVDやインターネット配信などを含めた別の方法での公開を検討していることを明らかにした。サイバー攻撃については、米連邦捜査局(FBI)が同日、北朝鮮の関与を認定。米国内では上映を中止した大手映画館などに対し「サイバーテロに屈した」などと、批判が広がっていた。

 映画を巡っては、親会社のソニーの平井一夫社長が、暗殺の描写を和らげるように指示していたことが報じられ、論議を呼んでいた。ソニーが子会社の映画製作に介入するのは過去25年間で例がないという。

 ◇テロ支援国家に…指定圧力強まる

 北朝鮮のサイバー攻撃関与をFBIが認定したことで、米議会で北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう求める声が強まっている。再指定や制裁強化となれば、北朝鮮の反発は必至で、朝鮮半島の非核化を巡る対話の機会も遠のく懸念がある。

 米上院外交委員会のメネンデス委員長(民主)は19日、ケリー国務長官に書簡を送り、北朝鮮の攻撃を、(1)主要国際企業に大きな経済的被害を与えている(2)芸術的自由に対する国境を越えた許し難い検閲−−と批判して、テロ支援国家に再指定するよう求めた。

 北朝鮮は2008年に米国と核計画の検証手続きに合意、テロ支援国家指定を解除されたが、核開発に関連して厳格な制裁措置が科せられており、国際社会でも孤立を深めているため、新たな対抗策の効果を疑問視する声もある。

 オバマ米大統領は19日に「我々は対抗措置をとる」と表明したが、具体的な内容については言及せず、現時点では今回の攻撃を「犯罪」としており、「テロ」と呼ぶことは避けている。

 一方、朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省は20日、FBIが北朝鮮の関与を認定したことについて否定。「我々は、米中央情報局(CIA)のように拷問を用いなくても、関係がないことを立証する方法がある」として米側との共同調査を提案した。

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