ソニー映画:オバマ米大統領が上映中止を批判
毎日新聞 2014年12月20日 07時45分(最終更新 12月20日 10時08分)
【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は19日午後(日本時間20日未明)の記者会見で、大規模なサイバー攻撃を受けたソニーの映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE、本部ロサンゼルス)が映画の公開中止を決めたことについて、「過ちを犯した」と指摘した。同社は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」を製作し、サイバー攻撃を受けた。犯行声明を出したハッカー集団が上映館のテロ攻撃を示唆して封切り中止に追い込まれた。だが、大統領は、米国の「表現の自由」への北朝鮮の干渉を許す形になったことに懸念を表明した。
オバマ大統領は記者の質問に答えてこの問題に言及。ソニーが被害を受けたことや従業員に対する脅迫が行われたことに言及し「同情する」と述べた。そのうえで、「私は彼らが過ちを犯したと思う」と明言。「どこかの独裁者が、この米国で検閲を押し付け始めるような社会は許容できない」と述べ、北朝鮮に妥協すればさらに付け込まれたり、映画人らが自己規制を始める危険もあると指摘した。
オバマ氏は「私に相談してほしかった」とも発言。機会があれば、「犯罪的な攻撃に威圧されるパターンに落ち込むな、と指摘できた」と述べた。
SPEは17日、クリスマスの25日に予定されていた「ザ・インタビュー」の封切り中止を発表。これに対し、著名俳優など映画人や保守派から「北朝鮮に妥協した」との批判が出ていた。
米連邦捜査局(FBI)によると、サイバー攻撃は11月に発生。SPEのコンピューター数千台がデータ消去などの被害を受けたほか、社内文書や個人間の通信などが盗まれた。FBIは19日、攻撃の責任は北朝鮮政府にあるとの認定を発表。SPEについては「発生から数時間以内に通報してくれたおかげで、攻撃源の特定に貢献した」などとして評価していた。