新大学入試:高校校長の半数「期待できない」
毎日新聞 2014年12月19日 15時00分(最終更新 12月19日 16時55分)
◇校長会の調査、授業の前倒しなど懸念
大学入試改革で、年複数回実施や教科の枠をこえた総合問題の出題を想定する新テストについて、普通科高校の校長の半数が「期待できない」と考えていることが「全国普通科高校長会」の調査で分かった。複数回実施で試験時期が早まり、授業の前倒しや行事の見直しを迫られる可能性など、高校教育への影響を懸念する声が上がっており、関係者は「高校現場への配慮が必要だ」と話している。
校長会は全国の国公私立の普通科高校の校長ら約3340人で構成している。今年7月、各都道府県で進学校5校と進路多様校5校を抽出した計470校の校長に、新テスト(大学入学希望者学力評価テスト、仮称)について質問した。
新テストに「期待できない」と答えた校長は、全体の半数近い230人。「期待できる」は103人(22%)。「どちらとも言えない」は123人(26%)で14人が「その他」だった。「複数回実施」は65%の305人が「反対」を表明し、「賛成」(85人、18%)を大幅に上回った。
実施を希望する時期は「高校3年2学期から」と答えた校長が219人(47%)、「高校3年1月から」が142人(30%)。合教科型・総合型問題の出題については、半数以上の243人の校長が「反対」と回答した。
新テストが複数回実施されると現在より試験時期が早くなる可能性があり▽今でも速い授業の進度をさらに速めなければならず負担が生じる▽部活動や学校行事が停滞する▽高校教育の目的が大学入試になってしまう−−などと懸念する意見が寄せられた。
また、センター試験は良問で「現状変更の必要性を感じない」という意見もあった。合教科型・総合型問題の出題について▽一定の水準で作問し続けることができるか不安を感じる▽賛成だが現行の教育課程では対応が困難−−という声も上がっており、今後の制度設計次第では、さらなる反発も予想される。【坂口雄亮】
◇大学入試の新テスト
知識偏重とされる現行の大学入試を改革するため、中央教育審議会の部会が10月に改革案の答申素案をまとめた。毎年1月に実施される現行の大学入試センター試験を見直して新テスト「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)を創設し、年に複数回実施することや、1点刻みではなく複数段階レベルで評価すること、教科型ではない合教科型・総合型の問題を出題することなどを想定している。