銀行振り込み:24時間化、18年中に稼働 全銀協表明
毎日新聞 2014年12月18日 20時55分(最終更新 12月19日 01時11分)
全国銀行協会(会長・平野信行三菱東京UFJ銀行頭取)は18日の記者会見で、他行向けのお金の振り込みを365日、24時間可能にするシステムを2018年中に稼働させると正式表明した。英国など海外では24時間化のサービスが既に始まっており、日本の金融機関も利便性を高めて、仮想通貨など銀行を介さない新たな決済サービスに対抗する。
銀行窓口は原則として午後3時で閉まる。他の金融機関の口座に現金を振り込む際、情報の仲介役となる「全国銀行データ通信システム」(全銀システム)の稼働時間(平日午前8時半〜午後3時半)内に振り込み処理を終える必要があるためだ。午後3時半を過ぎると、相手口座への入金は翌営業日になる。土日は動いていないため、金曜日夕方の振り込みが完了するのは、月曜日の朝だ。
全銀協が検討する新システムは、全銀システムが稼働しない平日夜間や土日の処理を受け持つ。二つのシステムを連動させ、いつでも相手口座に即時振り込める体制を整える。年明けから具体的な設計に着手する計画だ。
ただ、新システムが稼働してもただちにすべての銀行振り込みが24時間化するわけではない。振込時間の延長には一定のコストがかかるため、新システムを利用するかや、振込時間をどの程度延長するかは各金融機関の判断に委ねる。
全銀協は金融機関によって延長時間が異なると利用者が混乱する恐れがあるとして、新システムを利用する金融機関に求める最低限の延長時間を示す方針。利用者の要望が多い午後6時が有力だ。
大手行や有力地銀はさらに、深夜や土日、祝日も含めた大幅延長を検討している。一部の金融機関は「他行との差別化を考えれば24時間化は避けられない」(幹部)と、一年中いつでも振り込める仕組みを検討している。
ただし、深夜などに相手口座に入金するには、双方の金融機関が取引時間帯に新サービスに接続していることが前提になる。午後8時に手続きをした場合、振込時間を午後8時より遅くまで延長している金融機関であれば、すぐに相手口座に入金できるが、午後6時までなら入金は翌営業日になる。
利用者の要望が強い窓口取引時間の延長は、人件費など多額の経費がかかるため一部にとどまりそうだ。金融機関の多くは時間延長の対象を現金自動受払機(ATM)やインターネット取引に限定する方向。いずれも現在と同様に一定の手数料がかかる見通しだ。