STAP細胞:小保方晴子さん 自身の手で再現できず
毎日新聞 2014年12月18日 11時21分(最終更新 12月18日 18時56分)
STAP細胞論文を巡る問題で、著者の小保方晴子・理化学研究所研究員(31)が11月末まで取り組んでいたSTAP細胞の有無を確かめる検証実験で、論文と同じ手法で細胞を作製できなかったことが、関係者への取材で明らかになった。理研は19日午前、小保方氏と小保方氏か関わらない理研の検証チームの実験結果について発表する。検証チームの実験も打ち切りになる公算が大きく、STAP細胞の存在が事実上否定されることになる。
理研は4月以降、理研発生・再生科学総合研究センターの相沢慎一特別顧問(当時)を統括責任者とする検証チームを設置。最長1年かけて、マウスの細胞が弱酸性の溶液に浸すなどの刺激によって万能性を獲得することを確認したうえで、この細胞を受精卵に入れて全身の細胞に分化させる「キメラマウス」を作ることを試みていた。
小保方氏は7月から検証実験に参加。第三者の立ち会いの下で、論文で記載した実験の再現に取り組んだ。しかし、関係者によると、万能性の目印となる遺伝子が働くと緑色に光るように遺伝子操作したマウスのリンパ球を使った実験で、刺激を与えても緑色に光る細胞はわずかに確認できただけで、論文のように頻繁には出現しなかった。また、キメラマウス作製にも成功しなかったという。
小保方氏は4月に開いた記者会見でSTAP細胞の作製に「200回以上成功した」と説明していた。
検証チームは8月の中間報告で、論文に記載された方法ではSTAP細胞ができなかったと発表した。チームの実験は条件を変えながら来年3月末まで続ける予定だったが、関係者によると「小保方氏が再現できなかった以上、継続する意味は薄い」として、打ち切られる可能性が高い。
STAP論文については、理研がデータの捏造(ねつぞう)や改ざんがあったと認定した画像以外にも複数の疑義が指摘されたため、9月に新たな調査委員会が設置された。調査委の結果を受け、中断している懲戒委員会が再開され、小保方氏らへの処分が示される見通し。【大場あい、清水健二】