魔法と武器を使って異世界を旅する (ゆっくりしよ~か?)
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 初オリジナル作品。頑張って書いていこうと思います。



プロローグ

 僕って昔から周りの人たちから嫌われていたんだよね。友達なんか一人もできないし、教師だって気持ち悪そうにこっちを見てくる。両親なんて、僕を存在しないものとして扱ったりする。まぁでも、だからと言って何もされていないわけでもないんだよね。雑用の全ては僕にやらせている。普通は生徒がやるもんじゃないだろうって言うのもだよ。別にそんな生活が嫌ってわけじゃないよ。だって、慣れたから。毎日毎日やっていればなれるよ。

 こんな僕にも趣味があるんだよね。世界中の武器を実際に造ってみること。僕は結構器用な方らしく、あまりミスをせずに作ることができる。自信作なんかは結構外で木を切ったりしていたりするんだよね。
 
 それにしても僕はこれでも高校二年生だ。こんな毎日を送っていても一日も学校を休んだことがない。なぜかと聞かれたら、

 ―――皆勤賞ってもらうとなんかうれしいじゃん?

 ただそれが学校に来る唯一の理由。まぁ、別にいじめられているわけでもないし通わない理由はないんだけどね。陰口とか言われていたりするけどさ。
 
 そしてそんなある日、こんな生活にも変化が訪れたんじゃないかな?

 「…あぁ、転校生がやって来た」
 
 いじめじゃないような、いじめのようなものを受けている日々の中、このクラスに初めての転校生がやって来たのだった。教師はめんどくさそうに黒板にその転校生の名前を書いていった。そして書き終えたころに、その転校生がやって来た。

 黒板には『東雲なぎさ』と書いてあった。性別は女かな?この学校の女子の制服を着ているし。黒いセミロングの髪に、たれ目で少し好奇心が多そうだった。世間一般では美少女と呼ばれる部類だと思うよ。クラスの男子は笑顔に見惚れていて、女子は可愛いと心の中でそう思っているだろう。

 そして僕はというと…

 (とりあえず、可愛いよね。うん)

 まぁ、こんなことを考えていた。僕は別にいじめられているわけでもなく、普通に生活しているわけだからこんなことを考えているのは普通だよね。うん。

 「東京からやってきました、東雲なぎさです。今日からよろしくお願いします!」

 短い自己紹介ではあったけど、クラスの人たちからは温かい拍手でなぎさちゃんのことを迎えていた。うん、僕の時とは全く違う対応だよね。

 「開いてる席は…はぁ、凪崎の隣しか空いてないな…チッ」
 「あっ、あの開いている席ですね。わかりました」

 そういえば、僕の隣が開いていたね。まぁ、僕がこの教師に言われて机を置いたんだから僕は何も悪くないんだけどさ。それにしても周りの人たちの視線が怖いね。そんなにこの席がいいのかね?僕の席は窓際で一番後ろにある。いわゆる教室の隅ってやつだよね。
 
 それにしても僕、この学校に入って初めて苗字を呼ばれたかもしれないね。ほら、今まで無視され続けたし。
 
 「えっと、よろしくお願いしますね?」
 「あぁ、よろしくね。僕の名前は凪崎皐月だよ」

 僕は笑っているように見えない笑顔を浮かべていた。そんな僕の笑顔を見て、周りの人たちは陰口をまた言っていた。

 

 ▽△▽△▽△



 なぎさちゃんが転校してきてからもう一週間がたった。彼女は周りの人から囲まれ、自分の居場所をちゃんと作れていたようだった。人気も上々で、マスコットのような存在になっていた。

 毎日放課後になると、クラスの人たちに遊びに誘われていた。うん、こういうのを見ているのも楽しいもんだね。そして毎日のように男子から告白されていた。でも、なぜか彼氏はいないようだけど…なんでだろう?

 「おはよう!さつきさん」
 「うん、おはようなぎさちゃん。今日も元気でうっとうしいね」
 「結構辛辣だね」

 これがある意味僕たちの朝の始まりなんじゃないかな?なぎさちゃんが転校してきてから毎日なぜか話しかけてくるし、朝も一緒に登校することになっていたりしたしさ。

 「ねぇ、さつきさん。ちゃんと数学の宿題やって来た?」
 「もちろんだよ。答えは全てy=3x+1だよ」
 「そんなわけな…って本当に書いてる!」

 こんな毎日が僕はとても楽しあったのかもしれないね。普段は笑顔のような笑顔じゃない表情を浮かべていたんだけど、最近は変わってきたのかもしれないな。こんなふうに変わってきたって言うことは僕の中で、なぎさちゃんの存在が少し友達という散財じゃなくなってきたって言うことなのかな?

 「そういえばさつきさんの家って、私の隣みたいだね」
 「あぁ、そういえば僕の家の隣に新しく誰かが引っ越してきたような気がするよ」
 「私この学校に転校してくる前の日にさつきさんが隣の家から出てくるのを見たんだよね」
 「それなら、僕となぎさちゃんの家は隣同士なんだろうね」

 これが僕たちの日常。毎日ある普通の日々。

 「だからね、今日から一緒に帰らない?」
 「いいともさ。こんな美少女と登校だけでなく、下校もできるなんて嬉しいね。男子共、ざまぁみろ」
 「び、美少女だなんて、てれますぅ」

 
 こんな日がずっと続けばいいんじゃないかと思っていたよ、僕はね。でも、世界はそんなことを許してはくれなかった。

 なぎさちゃんがここに転校してきてから2か月目の僕が風邪を引いたある日のことだった。

 「さつきちゃん、顔赤いけど大丈夫?」
 「大丈夫だよ、別に40度の熱があるってわけでもないしね。それにしても、なぎさちゃん。いつから僕をちゃん付けで呼ぶようになったんだい?」
 「今からだよ!」
 「そうかい」

 僕はいつものように、靴箱から靴を取り出し教室に向かおうとしたとき、靴箱の中に手紙が入っていた。ついに、陰口から行動に移すのか。まぁ、

 「僕だけなら問題ないんだけどね」

 さて、今日もいつも通りにすごそうか。授業はいつも通りに始まった。僕は手紙を取り出し、読んだ。放課後に体育館倉庫に来い…か。ついに暴力に走るのか。まぁ、いいけどさ。

 そして、放課後になった。なぎさちゃんに今日は一緒にかえれないと伝えようとしたが、教室にはすでにいなかった。先にかえるなら僕に声をかけるだろうし、

 「まさか、ねぇ?」

 僕はそう呟いて、体育館倉庫に向かう。待ち合わせ場所、体育館倉庫に。

 「失礼しまーす」

 結構近くにあるので早く着いた。そこにいたのは三人の男と服が引き裂かれ、両手両足が縄で縛られ、口はガムテープでふさがれていた。

 「さつきぃ、お前最近東雲と仲良さすぎるんだよ。だから、こうして仲良くできないように俺たちが教育してやるんだよ」
 「あ、そう。それにしてもなぎさちゃん。すごい面白い恰好しているね。それにしても男子A君。嫉妬とは見苦しいねぇ」
 「嫉妬じゃねえ。お前には似合わねえからもらってやるっていってんだよ」

 似合わない…ねぇ。そんなことはわかっているんだけどね。

 「似合わないのはわかっているさ。でもねぇ、男三人が女の子一人を縛ったりすることはさすがに見過ごせないからね。嫉妬じゃないとするなら独占欲かな?」
 
 うん、すごい寒気がするよ。さすがに39.8度で学校に来るのは無謀だったかな?

 「オマエ、前々から目障りだったんだよ」
 「前々から殴りたいと思っていたんだよ」
 「東雲さんprpr」

 一人変態が混じっているようだね。うん、気持ち悪いね。

 「なぎさちゃんも大変だね。こんな変態たちに好かれるなんて」
 「失礼だな、変態はこいつだけだ」
 
 なんだろう、さっきの空気はいったいどこに?それにしてもなぎさちゃん大丈夫かな?こんな空気の中だけど、ずっと縛られっぱなしだからね。

 「大丈夫?なぎさちゃん」
 「プハァ、だ、大丈夫だよ」
 「それはよかった」
 「お、お前。いつの間に」

 そんなの今だよと言いたい。でも、見ればわかることだからどうでもいいか。

 「そんなことはどうでもいいんだよ。で、なんだっけ?なぎさちゃんがほしいんだっけ?なぎさちゃんは僕のものじゃないんだよね。でもさぁなぎさちゃんがほしいなら自分から告白をしたらいいだけのことじゃん。なんでそんなこともできないのかな?それともしないだけなのかな?もしかして、告白してフラれるのが怖いから?それにしてもどうやってなぎさちゃんを手に入れるんだい?僕を殺すのかい?僕を殺して君たち三人でなぎさちゃんを愛するのかい?」

 僕は一歩一歩三人に近づいていく。

 「なぎさちゃんを手に入れたいとか言ってるけどさぁ―――女の子を泣かせたら、愛する資格なんてない思うんだよねぇ」

 また一歩近づく。三人は恐怖していたようだ。僕は笑顔で近づいているだけなのにね。そして一人の男の鼻と鼻がくっつきそうになるくらい近づいた。

 「ねえ、君はどうしてあのリーダーに従うんだい?」
 「だ、ダチだからに決まってるだろ!」
 「ふぅ~ん、そうなんだぁ」

 僕はそういうと男のポケットの中にある封筒を勝手に取り出した。

 「へぇ~、君の友情はお金の額で決まるんだね。それじゃあ、」

 僕は財布から六万円を取り出し、その男に握らせた。

 「これを君にあげるからさぁ」
 「やめろ」
 「だからさぁ」
 「やめてくれ」
 「僕と友達になってほしいな」
 
 彼は一目散に逃げ出した。そんなに僕と友達になりたくないのかなぁ?それはそれでショックだね。

 「さてさて、君はいったいどうするのかな?」

 僕はリーダーではないもう一人の男に近づこうとしたとき…

 「う、うああああああ」

 僕と反対の方向に向かって走り出した。僕がいる位置が倉庫の入り口だから、壁しかないわけで。

 「フギャッ!!」

 壁に衝突して、気絶した。残りはリーダー一人だけ。

 「ほら、あとはキミだけが残ったよ。どうするのかな?」
 「く、来るな。来たらこの女にさすぞ」

 リーダーはなぎさちゃんの首筋にナイフを付けていた。なぎさちゃんも怖くて動けないようだ。

 「何?なぎさちゃんを好きなのに、僕が君に近づいたらなぎさちゃんをさすって言うのかい?それはおかしな話だね。だって、君はなぎさちゃんのことが好きなんでしょ?愛するんでしょ?ならなんでなぎさちゃんの首にナイフを近づけているんだい?」

 二歩近づいていく。それに応じてリーダーは後ろに一歩下がる。

 「く、来るな!!」
 「それは無理な相談だね。僕はなぎさちゃんを守らないといけないからね」

 また二歩近づく。どうやら後ろに下がることをもうあきらめたようだ。

 「それじゃあ、はなしてもらうかな?」
 「く、来るんじゃねえ」

 痛い。僕の腹にどうやらナイフがささっとようだ。痛い。血が流れていくのがわかるよ。ま、まだ死ねないけどね。

 「な、なんで死なないんだよ!」
 「痛いさ、うん。すごく痛い。けどね、ほら君なぎさちゃん泣かせたじゃん?だから君にちょっとお仕置きしないといけないからさぁ」

 僕はそう言ってポケットからナイフを取り出した。これが僕の自信作。切れ味は、鋼も簡単に切れる物。それをリーダーの腕に近づけて、

 「泣いても、許さないよ?」

 ためらいもなく右腕を切り落とす。

 「アガッ、い、イテエ」
 「そりゃあ、痛いだろうね。でも、これだけで終わると思う?」
 「それはどういうことだよ」
 「次は、左目だね。うん」
 「や、やめてくれ。頼む。なんでもするから」
 
 何でもする?ふ~ん、面白いことを言うじゃん。

 「そんなことでやめてもらえるだなんて考えが甘いよ。いや~、僕ももうそろそろ死ぬからね。君は晴れて殺人犯になれるよ。良かったね。うん。それじゃあ、さようなら。名も知らぬ誰かさん?」
 
 そう言って僕はナイフを左目に入れ、抉り出した。リーダーはあまりの痛みで逃げ出した。うん、満足。

 「それじゃあ、さよならなぎさちゃん。僕はこれで失礼するよ?」

 僕はこの場から去り、近くの森の中に入って…死んだ。誰にも見つからずに死ぬことって、誰にも迷惑を掛けないからいいことだよね?



 △▽△▽△▽



 僕は目を覚ました。腹に刃物を刺されて死んだはずなのに。ここは天国だろうか?深い森の中にいるようなんだけど…。

 「ガルルルル」

 どうやらいきなり変な生き物と遭遇したみたいだね。鳴き声は狼みたいなんだけど、見た目がなんか半液体状なんだけ!!

 「すごく見た目が気持ち悪いね。まぁ、僕の作ったナイフに切れないものはほとんどない!」

 僕がそういうと同時に液体状狼が襲い掛かってくる。こんな見た目でも結構足は速かった。でも、僕も自称最速だからね。この程度は負けはしないよ。
 まぁ、進行方向にナイフを置いていたら自分で勝手に斬られるから関係ないんだけどね。ほら、よく言うでしょ。車は急には停まれないってね。

 「ガルルルル」
 「ガルルルル」
 「ガルルルル」

 どうやらこの液状狼は群れで生活しているようでした。今、囲まれちゃってます。アハッ。 
  


 今回はここまでですね。次回も頑張って更新します。


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