盲人に色を語ることは不可能だとしても、健常者が色覚障害者の世界を知ることは不可能ではない。
視覚障害者の見えかたをリアルタイムで再現できれば、機械や設備など、さまざまなもののインターフェイスを開発する際に、視覚障害者にも見やすいものを開発することができるはずだ。これまでもそのような装置はあったようだが、コストがかかり、正確性や没入性の面で限界があったという。
しかし、ネバダ大学リノ校のEelke Folmer准教授が、低コストで、没入性が高く、様々なタイプの視覚障害者が見る景色を再現できるシステムを開発した。SIMVIZと名づけられたその装置は、視覚障害者にとっても見やすさを簡単にチェックすることができ、ソフトウェアの開発などの際に役に立つ。
その装置とは、市販ヘッドマウントディスプレイであるOculus riftに、広角カメラ(プレイステーション4のカメラ)を装着し、その映像を加工してOculus riftに映写する。Oculus riftのメリットはその110度という広い視野で、これは人間の視界をカバーし、高い没入性を発揮してくれる。
様々な視覚障害を再現できる
映像をOculus riftで再生するためのレンダリングには、VRプレーヤーを使用する。VRプレーヤーは、HLSLを使ったさまざまな映像効果に対応しているので、色覚障害や緑内障、白内障、糖尿病による網膜障害、加齢黄斑変性などの特有の見えかたを再現するフィルターを使って、映像を作り出すことができる。それもキーボードの操作で簡単に切り替えられる。
こういった装置を活用することで、インターフェイスは視覚障害者にとって、これまで以上に見やすいものにすることが可能だ。
実際の見えかたは下の動画で見ることができる。
*参照:Eelke Folmer -SIMVIZ: Simulation of Visual Impairments using a See-through Display -