擬態ならぬ擬音できる変態ギターアンプ「Kemper」(ドイツ製)

2015.01.02 18:00
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これ持ってタイムマシンに乗って。ジミヘンのギターアンプの音を盗みにいきたい
いや、どこかに保管されているかもしれないですけどね。ジミヘンが使っていたギター・アンプ。でも、あの日あの時の音でないと意味がないかもしれないんです。

デジタルで往年の名機の音をシミュレーションできる昨今のギターアンプ・シュミレーター機能。最新型のアンプやエフェクターにはもはや常識と言っても過言でないほど標準装備されています。しかし、この「Kemper」というドイツ人のエンジニアリング魂が炸裂したギター・アンプはちょっと違います。所定の方法で繋いだアンプの音をプロファイリングして、自分の音として再現できてしまうのです。

(動画の10分ぐらいのところで実際にプロファイリングを行っているところを確認できます)モデリングしたいアンプにKemperをつないで、UFOの効果音やホワイトノイズを出すことでその音響特性を読み取ります。

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なぜそんなことが必要かというと、古今東西、“名機”といわれるギター・アンプは真空管を搭載して音を歪ませる仕様のモノが多く、ハンドメイドに近い制作工程ゆえに個体差があるんです。さらにメンテナンスのコンディションによっても大きく音が変わるんですね。レンタルスタジオで練習をしたことのあるギタリストなら、誰でも経験があるはずです。“あれ、前弾いたのと同じ機種なのにまったく音が違うな”なんてことありませんか? このギターアンプならではの微妙な音の個体差や、その空気感まで、Kemperは忠実にプロファイリングすることができます。

楽器系サイト「デジマートマガジン」では、元JUDY AND MARYのTAKUYAがメンテナンスに気を遣う貴重なヴィンテージ・アンプの数々を、プロファイリングしまくっています。さらに後半ではGLAYやジュディマリを手掛けた音楽プロデューサーの故・佐久間正英氏がスタジオレコーディング環境で比較しても、本物との見分けがつかないと評価しています。

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付属ソフトのKemper Rig Managerでは世界各国のKemperユーザーが多種多様なギターアンプをプロファイリングしたデータ(Rig)がシェアされています。いわゆるクラウドですね。マーシャル、フェンダー、メサブギーといった名機の場合は何百種類とあるので、この中からUSB端子経由でデータを送ることで、プロファイリングしなくても好みのサウンドを手に入れてしまいそう。

ハイエンドなプライスかつ、ある程度の専門知識は必要ですが、アンプの音を盗むプロファイリングというコンセプトが面白いと思いませんか? また、たとえば PCソフトやiPhoneアプリのアンプシミュレータで作ったお気に入りの音を、ある程度の出力・音量が必要なライブで再現するなんていう宅録派がステージデビューする用途でも使えそうです。一見、ツマミが多くてとっつきにくい印象もありますが、直感的に操作できるように配置が練られているところはさすがドイツ製と感じました。

はっきりいってボーナスをつぎ込んでも欲しいです(笑)。


source: Kemper公式サイト via Kemper Amps

(尾田和実)

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