情報科学屋さんを目指す人のメモ

方法・手順・解説を書き残すブログ。私と同じことを繰り返さずに済むように。

755の「芸能人・有名人の返信率92%以上」とは一体何なのか考えてみる

755 (13)

テレビCMがさかんに行われている新世代トークアプリ「755」ですが、そのアプリの説明文には、1行目に「芸能人・有名人の返信率 92%以上!」の表示があります。1行目なので、かなり目に付く宣伝文句です。755を使ったことのない人は、これを見て、「自分がトークを送ったら、92%の割合で返信が来る」と思うのではないでしょうか。しかし、そう思って実際に755を利用してみると、「92%なんて、全くの嘘じゃないか!」となることでしょう

今回は、この「返信率92%」って一体どういう意味なんだろう?ということについて考えてみます。

「返信率92%以上!」の宣伝文句

iPhone版755のAppStore、Android版755のPlayストア、どちらにも、「芸能人・有名人の返信率92%以上!」という宣伝文句があります

7gogo-henshinritsu-app-info

さて、とある「755を使ったことのない人」が、「芸能人と話せるアプリなんだ」ということまでテレビCMで知っていたとします。

そんな人なら、まずこの宣伝文句を、「トークしたら、92%の割合で返ってくるのかーすごいなー」と解釈することでしょう。もしくは、「それってつまり自動返信だろ」と思うかもしれません。

一般的であろう「返信率」の解釈

どちらにせよ、「全コメントのうち、返信があったコメントの割合」のことを「返信率」と解釈すると思います

「返信率92%」に納得がいかない人々

返信率92%について、Twitterでは以下のような反応を見つけることができます。

つまるところ、実際に利用してみると、「返信率が92%も無い」と感じるわけです。それも、「50%しかない」とか「10%しかない」とかではなく、「1万分の1」とかそういうレベルで、です。

「返信率」を概算してみる

さて、年末のテレビCMで返信する姿が映されていた「高橋みなみ」さんの755で、その「返信率」を調べてみたいと思います。

実は、CMでは返信率92%の宣伝文句を使っていないのですが、インストールする過程に登場することを考えれば、「高橋みなみにトークを送ったら92%で返信が来る」と思う(読む)ことは容易に想像できます。

さて、「高橋みなみ」さんのトークにて、「やじうまコメント(一般の人が芸能人向けに話しかけた文章のこと)」に対する返信が何回行われたのか、返信回数を2015年1月1日について数えてみます。

つまり、「返信率(返信のあったやじうまコメント/全やじうまコメント)」の「分子」にあたる部分です。

数えてみると「7回」でした。

↓貴重な返信メッセージ
7gogo-henshinritsu-reply

というわけで分子は7回です。

まだ数えていませんが、もし一般ユーザーから1月1日に「8回」コメントが付いていたら、分母(やじうまコメントの総数)が8となり、もうさっそく「7/8=87.5%」と、92%を下回ります

では、実際の一般ユーザーからのコメントはどうかと見てみれば、数え切れないほどのコメントが押し寄せていることが分かります。すぐわかります。

正直、手軽な方法では数え切れないのですが、その数、多いときには1分間で30コメントとかそういうレベルです。

↓流れていく「やじうまコメント」
7gogo-henshinritsu-yajiuma-comment-flow

もちろんこれが24時間続くわけではありませんが、少なく考えて「1万」は超えるでしょう。

0.1%も無い「返信率」

すると、返信率は「0.07%未満」となります

92%以上、という表記からはかけ離れています

755は全体的にそう

755を使ったことが無い人向けに、具体例でその「返信率」の低さを紹介しましたが、755を使ってみると、そんな返信率の低さは当たり前に感じます

もちろん、人や日時によって変動はあるものの、「92%以上」というのはどう考えても理解できない数値です。何桁間違えたの?と思うほどです。

そもそも、人気が出ればやじうまコメントも増えるので、「返信率」はどんどん減るはずです。

仮説:「返信率」が直感に反する定義になっている

こういう場合、「詐欺だ、嘘だ」と考えを進めるパターンもありますが、やはりここは「返信率の定義が、おかしいのではないか」と考えてみます。

さて、「返信率」です。これが「返信がもらえる『コメント』の率」でないのなら。。。

ここで私は考えました。「誰かに返信をしたことがある『芸能人』の率」なのではないかと。

「返信したことがある芸能人の率」、略して「返信率」です。

芸能人には、やじうまコメントに返信してくれない人もいます。

なので、「返信率=(返信したことがある芸能人)/(全芸能人)」と定義すれば、「92%以上」でも違和感がありません。というかちょうどいい具合です。

「返信率」の正解の定義はアプリの説明文に書いていないので、もしこれが「返信率」の正体だったとしても「嘘をついた」にはならないのでしょう

「返信率92%」の可能な解釈

というわけで、755の「返信率92%」は、「(量関係なしに、一度でも)返信してくれる芸能人の割合が92%」の意味で記述されている可能性があります

もしそうであれば、説明不足なだけ、だとか、紛らわしい書き方だっただけ、となることでしょう。嘘はついていない、ということで。

まとめ:「返信率92%なんてありえない。何かがおかしい→返信率の定義がおかしいのでは?」

というわけで、とにかく755を使ったことがない人に向けて言えるのは、きっと多くの人が思うであろう「返信率=返信をもらえるコメントの割合」という定義であれば、「返信率92%」なんてありえないということです。

もちろん、人気の無いトークであれば、不可能ではありません。しかし、現実的に考えて、人気のあるなしかかわらず芸能人全体で平均を取れば、そんなものはわずかな例外中の例外で、基本的に滅多にコメントが貰えるものではありません

現実的に考えれば、「芸能人・有名人の返信率92%以上」は、「芸能人・有名人のうち、一切返信してくれない人が8%未満」と解釈するのがよいのではないでしょうか

(ここまでで本来の本文終了)

(ここから追加情報)

755の偉い人に聞いてみた(偶然)

さて、この記事を途中まで書いていて、この仮説が正解なのではないか、と言って終わらせようと思っていたところ、たまたま、全くの別件で755の運営会社(7gogo)の代表取締役社長の方のTwitterアカウント*からリプライが飛んできたので、流れで聞いてみました

「返信率92%」とは、「755を利用する芸能人・有名人のうち92%の方が返信を行うことで一般ユーザーとコミュニケーションを取っている」という意味だったようです!

!!!

というわけで、仮説がだいたい正解だった、ということになりました。

これについては、次のように補足してくださいました。

「返信率92%」の文字が、そのうち消えることになるかもしれません。

*実は、この方のtwitterアカウントの「本人性」を確実なものにしたかったのですが、かなりひっそりとTwitterをされているようで、公式サイトやインタビュー記事、Facebookなどからたどることはできませんでした(逆に、別の本物も見つからない)。とはいうものの、他の人とのやりとりや投稿内容からして、なりすましの類では無いと考えています。ついでに言えば、「発言内容は私個人の見解で所属組織の公式見解ではありません」です。なので、755運営からちゃんと裏を取るべきでしょう、ということで、一応メールを出しました。しかし、どちらにしても、最初の「返信率」の解釈において「92%」はあまりに現実離れした数値です。

追記:修正が入った模様

この記事を公開した直後、「92%」の部分を外した、との連絡が来ました。

いまのところ、ストアへの反映は確認できていません(Android、iOSともに)。

追記:Android版755の説明文から、「芸能人・有名人の返信率 92%以上!」の表記が消えていることを確認しました。

関連

セキュリティ関連:トークライブアプリ「755」のアカウントに他人がログインできる問題について(電話番号認証のセキュリティ)

文章流用関連:サイバーエージェントのトークアプリ「755」のヘルプを「LINE」と比較したらそっくりだった

ブログの更新情報はこちらから

RSS を 購読 する Facebook いいね! は こちら から Twitter で @did2memo をフォロー

コメント(1)

  1. 臼井正己
    2015年1月2日(金) 22:57

    おもいっきり森社長やないですか。

新しいコメントを投稿