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「エセ教育ばかりやっていた」と告白した教師、本物の教育に必要な“3つのルール”に目覚める

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「エセ教育ばかりやっていた」と告白した教師、本物の教育に必要な“3つのルール”に目覚める

化学の高校教師であるRamsey Musallam(ラムジー・ムサラム)氏は生死をさまよう状況を経験してはじめて、今までの自身の教育方法が間違っていたことに気づきます。子どもの好奇心を育てるための3つのルールとは?(TEDより)

【スピーカー】
化学教師 

【動画もぜひご覧ください!】
Ramsey Musallam: 3 rules to spark learning

生徒の探求心をいかに刺激するか

ラムジー・ムサラム氏:私は化学を教えています。

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(爆発音)

問題ありません。

(会場笑)

爆発に限らず化学は日常のいたるところにあります。レストランでボーっとしながら何度も何度もこうやっていたことはありませんか?

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うなずいている方もいらっしゃいますね。最近これを生徒に見せて、実際にやってみて何故こうなるのか説明してごらんと問いかけました。

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その後の議論はすばらしいものでした。このビデオを見てください。3時限目のクラスで教えているマディーが、この日の夜に送ってくれたものです。

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彼女は授業でやった妙な実験を帰宅してから試した。さらに、もっとすばらしいのは、マディーの好奇心が彼女を新しいレベルに引き上げたということです。

ビーカーの中を見るとロウソクが見えますね。マディーは温度を変えてみることで新しい現象が起きないかどうかを試したんです。マディーのような疑問や好奇心が磁石となって教師と出会うチャンスをくれるのです。教育界の持つ技術や専門用語では代わりが務まりません。

生徒が探求心を持つことよりも技術を優先したら私たち教師自身が疑問という最高の教育ツールを奪うことになってしまうかもしれません。

例えば、退屈な授業を教室からモバイル端末の画面に変えたら授業時間を短縮することは出来るでしょう。

生徒が経験済みのことだけに焦点を当てるなら派手な服を着て人間味の無いお喋りをするのと同じです。

そうではなくて、私たちが信念を持って、生徒を混乱、困惑させて、本当の意味での疑問を引き出すことが出来れば、それを通して、私たち教師は情報に満ちたしっかりとした方法で生徒にあった教育方法を持つことが出来るでしょう。

命を救った執刀医の言葉

21世紀の専門用語や業界用語、ちんぷんかんぷんな言葉はひとまずおいておきます。私は13年間教えてきましたが、生死にかかわる状況におかれたことにより、10年間のインチキなエセ教育から抜け出すきっかけになりました。

ランダムな情報の断片を与える決まりきったカリキュラムではなく生徒の疑問こそが本当の学びの種であると気づいたのです。

2010年の5月、35歳の時です。2歳の子供と、妻がお腹にふたり目の子どもを宿してる時のことです。私の胸部大動脈に大きな動脈瘤が見つかりました。心臓を切開する手術になりました。

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これは私の執刀医から実際に受け取ったメールです。メールを受け取った時、本当にパニックになりました。一方で、執刀医のみなぎる自信に驚くぐらい安心している自分がいました。執刀医は、どこでこんな自信と図太さを身につけたのか?

私が尋ねると、3つの事柄を教えてくれました。

まず第1に、好奇心に突き動かされて何が効果があり、何が効果がないのかと、治療に関して難しい問いをこれまで投げかけ続けてきたこと。

第2に、試行錯誤をしてきたこと。面倒くさくて避けることが出来ないプロセスを喜んで通り抜けてきたこと。

第3に、よく考えて集中し手順を計画するために必要な情報を集めて修正をしてきたこと。その確かなやり方によって私の命は救われたのです。

学びを輝かせる3つの教育ルール

私はこれらの示唆に富む言葉から多くを知りました。秋になり、授業に復帰する前に、自分なりのルールを3つ決めました。今でも自分の授業に取り入れています。

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1つめのルール。好奇心が1番大事である。疑問を持つことが優れた教育への道しるべになる。逆ではありません。

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2つめのルール。形式ばらない。私たちは教師で、学ぶことは醜いことだと良く知っています。だから科学的方法が5ページの第1章、1.2節にあっても、飛ばして構わないのです。試行錯誤するのに、手順を踏んで形式ばる必要はありません。

(会場笑)

私が教鞭をとるSacred Heart Cathedral校の206教室で毎日やっていることです。

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3つめのルール。よく考えて実行すること。私たちがすることは大切ですが、微調整をしていく必要もあります。教室の中の執刀医になれるでしょうか? まるで私たちがすることで誰かの命を救うかのようにです。

生徒にはその価値がありますし、ひとりひとりが全く別々なのです。

コンテンツをばらまくだけの教師はダメ

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(爆発音)

大丈夫です。ごめんなさい。次に進む前に化学の教師として、これをしないと気がすまないんです。

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私の娘たちです。右がエマルー、いかにも南部出身の名前です。左がライリー、彼女は2、3週間もすれば、すっかりお姉さんです。4歳になります。皆さんご存知のように4歳の子供は「なぜ?」と尋ねるのが好きです。そうです。「なぜ?」ってね。

ライリーには何でも教えられます。何に対しても好奇心旺盛ですからね。私たちも、このくらいの年齢の時があったわけです。

まだ誰かわかりませんがライリーの将来の先生たちは本当に大変だと思います。どういう方法でこの好奇心を育んでいけるでしょうか?

お分かりの通り、ライリーというのは全ての子供の例えです。学校からドロップアウトするのに様々な形があります。年度が始まる前に学校に見切りをつける上級生。都会の中学校の教室の後ろにある空席。

ただ、もし私たち教育者が、コンテンツをばらまく役ではなく、好奇心と探求心を育てるような新しい規範を導入することが出来れば、学校生活に少しだけ意味を与えることが出来ます。想像力を輝かせる手伝いが出来るんです。

ありがとうございました。

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