冨永格
2015年1月1日05時30分
■鏡の中の日本〈1〉装う
森英恵(88)の洋裁は主婦業を超えていく。いわば趣味が高じ、1951年に新宿に開いた「ひよしや」は日本服飾史の伝説だ。
50年代後半の店には、近くの文化服装学院から高田賢三(75)やコシノジュンコ(75)らが通い詰め、多摩美大にいた三宅一生(76)が入り浸る。皆、森が調達してくる美しい生地、新しいデザインに見入った。
高田が語る。「森先生は人も服も格好よくて、僕らの憧れでした。三宅君もたぶんそう、ジュンコなんか大ファンでしたもん」
デザイナーたちは己の才で勝負する。日本のファッション界も、こうした面々の「個の力」で海外への道を切り開いてきた。
森は日本人のオートクチュール(高級注文服)を知らしめた。70年代、高田や三宅がプレタポルテ(高級既製服)で続き、80年代には川久保玲(72)や山本耀司(71)が世界を驚かす。
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