中国:南京事件77年 初の「国家哀悼日」国家主席演説も

毎日新聞 2014年12月13日 21時09分(最終更新 12月13日 23時51分)

南京事件の追悼式典に出席する中国の習近平国家主席(中央)=中国江蘇省南京市で13日、ロイター
南京事件の追悼式典に出席する中国の習近平国家主席(中央)=中国江蘇省南京市で13日、ロイター

 【北京・工藤哲】日中戦争期の1937年に旧日本軍が中国・南京を占領した際、多数の中国人を殺害した南京事件から13日で77年となり、中国の習近平国家主席は今年初めて創設された「国家哀悼日」の式典で演説した。習主席は歴史認識問題で日本に妥協しない方針を示す一方、11月の日中首脳会談で関係改善の兆しが表れ始めた両国関係の行方にも配慮を示し、今後の日本側の出方を見極める姿勢をみせた。

 江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」には約1万人が集まった。習主席や中国共産党序列3位の張徳江・全国人民代表大会常務委員長のほか、軍人や警官、中高生らが列席。式典で習主席らが1分間の黙とうをした後、会場から多くのハトが放たれた。付近ではサイレンやクラクションが鳴らされた。

 習主席は演説で「(南京事件は)人類の歴史上暗黒の一ページだ。歴史は時代が変遷しても改変されず、事実も巧みな言葉で消え去るものではない」と指摘。日本の一部に根強い対中強硬論を念頭に「侵略戦争を美化する一切の言論には強く警戒し、断固として反対しなければならない」と述べた。中国指導部は、日本の憲法9条改正の動きや安倍晋三首相の今後の靖国神社参拝を懸念している。

 一方で習主席は「式典は善良な人に平和への思いを喚起するもので、恨み続けるためのものではない。中日両国の国民は世代を超えて友好を継続し、未来に向かい、共同で人類の平和のために貢献すべきだ」とも呼びかけ、対日関係改善への期待をにじませた。

 習主席の抗日戦争に関する演説は、盧溝橋事件から77年の7月7日と、「抗日戦争勝利記念日」の9月3日に次ぐ3回目。今回の演説は、対日要求が目立った9月の演説に比べ、協力を求めるトーンに変化した。

 式典に合わせ、公文書を扱う政府機関は今月に入り、南京事件に関する動画を公開した。また、中国の民間団体「中国民間対日賠償請求連合会」(童増会長)は今月上旬、北京の日本大使館宛てに犠牲者への謝罪などを求める書簡を送付した。習指導部は来年を「抗日戦争勝利から70年」と位置付け、中国各地で関連行事を実施する予定だ。

最新写真特集