日本国債:1段階格下げ…ムーディーズ、消費増税延期で
毎日新聞 2014年12月01日 20時37分(最終更新 12月02日 09時38分)
米格付け会社「ムーディーズ・インベスターズ・サービス」は1日、日本国債の格付けをこれまでの「Aa3」から、上から5番目の「A1」に1段階引き下げた、と発表した。政府が来年10月の消費再増税を1年半先送りし、財政健全化目標の達成で不確実性が高まったと判断した。消費増税先送り後、大手格付け会社が日本国債を格下げしたのは初めて。
国債格付けは、政府が借金をきちんと返済できるかという信用力を示す。同社の格付けは21段階あり、日本国債の格下げは2011年8月以来。当時は「首相が頻繁に交代し、一貫した政策を実行する妨げになっている」が理由だった。今回は「財政赤字削減目標の達成可能性に関する不確実性の高まり」「デフレ圧力の下での成長促進策のタイミングと有効性に関する不確実性」「中期的な日本国債の利回り上昇リスクの高まり」−−を挙げた。今後の見通しは「安定的」とした。
政府は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の赤字について、15年度に国内総生産(GDP)比で半減させ、20年度までに黒字化させる目標を掲げている。安倍晋三首相は消費増税の延期を表明した際、黒字化目標を堅持する姿勢を強調。達成には新たな増収策や歳出削減策が不可欠だが、具体的な道筋は示せていない。
日本の格付けはこれまで中国、韓国と同じだったが、格下げでオマーン、チェコ、イスラエルと同等になる。ムーディーズは02年5月、日本国債の格付けを一気に2段階引き下げ、上から6番目のA2とし、アフリカの途上国ボツワナ(当時A1)以下に評価したことがある。【三沢耕平】