衆院選:なぜ短縮か…「原則午後8時まで」投票終了時間

毎日新聞 2014年12月11日 22時00分(最終更新 12月12日 04時39分)

投票する有権者たち=2012年12月16日
投票する有権者たち=2012年12月16日

 ◇「法改正の趣旨に逆行する」と疑問視する関係者も

 14日に投開票される衆院選で、原則午後8時までと定められている投票終了時間。投票率アップのため午後8時までに見直された投票終了時間を、なぜ繰り上げるのか。各選管はそれぞれの事情を説明するが、「法改正の趣旨に逆行する」と疑問視する関係者も少なくない。

 1998年の公職選挙法改正で、投票所での投票終了時間は午後6時から午後8時となった。「特別な事情」があれば変更は可能だが、都道府県選管の事前承認が必要だったため、離島や山間部などでの繰り上げがほとんどだった。

 しかし、地方分権の一環による2000年の法改正により、市区町村選管の判断だけで変更が可能になると、同年の衆院選以降、繰り上げは右肩上がりで増加、09年衆院選で30%を超えるまでになった。有権者に対する事前の告示が必要なため実際には困難だが、法的には当日の変更も可能だという。

 急増の背景に、「コスト削減」を指摘する声もある。長崎市選管は投票機会確保のために繰り上げを見送ったが、投票時間を2時間短縮すれば、職員らの人件費が約550万円削減できるという試算が出たという。

 総務省所管の公益法人が行った10年参院選のアンケートによると、午後6時以降の投票者は全体の約9%。20〜30歳代は15%が6時以降に投票しており、全体の79%が「午後8時まで」の投票を希望していた。だが、実際には同じ選挙区の自治体が終了時間を早めると、周辺の自治体でも繰り上げが進む傾向がある。

 中部地方のある市選管関係者は「投票率を上げることより、作業を早く終わらせることが目的になっている。優先順位は何かを再確認すべきだ」と指摘する。【本多健】

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