衆院選:投票時間短縮35% 11回連続増 都市部も拡大

毎日新聞 2014年12月11日 21時55分(最終更新 12月12日 04時46分)

投票時間繰り上げ率の推移
投票時間繰り上げ率の推移

 14日に投開票される衆院選で、原則午後8時までと定められている投票終了時間を繰り上げる投票所が、35.2%(前回衆院選比1.7ポイント増)に上り、過去最高になることが毎日新聞の調べでわかった。投票率向上のために1998年の参院選から投票時間が2時間延長されたが、繰り上げは国政選挙で11回連続増え続け、過疎地以外にも広がっている。【横田香奈、角田直哉、中里顕】

 投票終了時間は、各市区町村選挙管理委員会の判断で繰り上げることができる。投開票日に開設される全国4万8621投票所の状況を各都道府県選管を通じて調べたところ、1万7109投票所で終了時間が繰り上げられていた。午後6時台や7時台への繰り上げが目立つ。主な理由は、山間部や離島など地理的条件のほか(1)夜間に投票する有権者が少ない(2)期日前投票が普及した(3)立会人の確保が難しい−−などだった。

 都道府県別で繰り上げ率が最も高かったのは、福島県の100%。東日本大震災後の節電対策などとして始めた全域での繰り上げを今回も継続する。役場機能が移転したままの自治体もあり、双葉町は埼玉県加須市の投票所から福島県いわき市の開票所まで投票箱の輸送に3時間かかるという。県選管は「山間部の投票所は夜間の出入りがまばら」などと説明するが、人口30万人前後の福島・郡山両市も全投票所で繰り上げる。

 群馬県も人口30万人を超える前橋・高崎両市の全投票所を含め、3回連続で99%が繰り上げる。ただ、人口約2万人のみなかみ町のうち、月夜野(つきよの)地区の9投票所が午後8時まで投票を受け付ける。地区の関係者は「たとえ1人でも有権者の権利を奪ってはいけない」と強調した。県選管は「期日前投票が浸透しているとはいえ、99%はさすがに異常」として、選挙のたびに投票機会の確保を市町村選管に呼びかけているが、改善は見られないという。

 増加率トップは6.6ポイント増で80.6%となった茨城県。今回から全域で繰り上げた日立市選管の担当者は「期日前投票が定着し、夜間投票者も少ない。他の市町村も大半が繰り上げた」などと説明した。

 総務省は「投票機会の確保を求めているが、具体的な方策は各選管が決めている」としている。

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