香港:学生、効果的戦略打ち出せず…デモ全面排除

毎日新聞 2014年12月11日 21時44分(最終更新 12月12日 08時35分)

 「強制排除に失望しても民主化へ絶望はしない」。民主派はこう訴える。学生団体は今後、別の形で闘いを続けると明言しているが、明確な具体策は打ち出せていない。社会に大きな亀裂を生む中、香港政府への不信感が強まっている。

 ◇選挙制度改革、難航も

 民主派による占拠行動が事実上終結する中、香港政府は今後も中国が決めた原則に基づき、選挙制度改革を着実に進めていくとしている。今後、選挙制度改革を巡る政府の第2回意見聴取を進めていく方針。その後、香港政府が立法会(議会)に選挙制度改革案を提出する。しかし民主派議員グループは既に政府案を否決に持ち込む構えを示しており、今後も選挙制度改革を巡る道筋は難航が予想される。

 香港基本法(憲法に相当)の解釈権は中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会にあり、香港政府にはない。中国と民主派のはざまで、厳しい対応を迫られる香港政府は民主派の要求を突っぱねた。そのかたくなな対応に、市民の不信感が増した。

 中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は11日の定例記者会見で、香港の強制排除を支持すると表明。「占拠行動は違法行為であり、香港政府には秩序を回復させる責任がある」と指摘した。「1国2制度」が揺らぐ中、国際社会から厳しい視線を浴びるが、民主化要求を受け入れては、中国各地で深刻化する汚職や格差社会への不満を背景に頻発する暴動などを増長しかねないと判断している模様だ。また、2000年以降に政権交代が2回実現している台湾では、先月の統一地方選で国民党が惨敗し、中台交流が停滞しつつある。香港での民主的な選挙制度導入は、安定的な統治の不安定要因につながると警戒しているとみられる。

 香港政府は選挙制度改革案を立法会に提案する方針だが、可決には3分の2の賛成が必要。3分の1を超す24議席以上を占める民主派議員の全員が反対すれば、改革案が否決される可能性がある。

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