香港:デモ隊最大拠点のバリケード強制撤去に着手

毎日新聞 2014年12月11日 11時54分(最終更新 12月11日 13時15分)

香港 デモ隊が多く集まっている場所
香港 デモ隊が多く集まっている場所

 【香港・鈴木玲子】香港警察は11日午前、行政長官選挙制度に反対する民主派デモ隊の最大拠点となっていた香港島中心部・金鐘(アドミラリティ)地区に築かれたバリケードの強制撤去に着手した。デモ隊が激しく抵抗すれば警官隊と衝突する恐れもある。全面的な排除が完了すれば、9月28日に始まった大規模デモから75日目で、民主派の道路占拠は事実上収束に向かう。

 金鐘の幹線道路の一部に対して高等法院(高裁)が出した占拠禁止命令に基づき裁判所の執行官が11日午前、執行を通告。現場には、多数の警官隊が配置されており、緊張感に包まれている。同日午前11時半(日本時間午後0時半)現在、デモ隊の一部が見守る中、当局がバリケードの撤去を進めているが、大きな混乱は起きていない。

 デモ隊最大の占拠エリアとなっている政府本部庁舎周辺は、占拠禁止命令の対象範囲に含まれていないが、隣接している。そのため警察は一気に撤去を進め、金鐘で全面的な強制排除を同日中に完了させる予定。

 撤去に伴い、11日は政府庁舎や議会が閉鎖された。香港メディアによると、警察は約7000人の警官隊を投入。デモ参加者が退去の呼びかけに従わなければ、強制的に排除し、妨害行為があった場合は逮捕する方針。占拠禁止命令の対象範囲にはデモ参加者はほとんど残っていないが、隣接する最大占拠エリアには約2000張りのテントが設置されている。

 強制排除を前に、占拠行動の中心である民主派の学生団体「大学生連合会」(学連)と「学民思潮」は10日、自主的な撤収はせずに占拠現場に残り「非暴力の原則」で警察に抵抗する方針を示した。

 学生団体の呼びかけにより10日夜には、金鐘の占拠エリアには約1万人が集まった。集会で学生団体や民主派議員らが次々と演説。学民思潮の黄之鋒代表は「運動は今なお勝利していないが、失敗ではない。皆がしっかりと信念を持っていれば運動は終わらず、失敗しない。普通選挙を勝ち取る戦いは続く」と訴えた。

 11日未明、現場では参加者同士が一緒に記念写真を撮る姿があちこちで見られた。中には涙ぐんで抱き合う女子学生らの姿もあった。一部は同日朝までにテントをたたんだり、物資を持ち運んだりするなど撤収作業をした。

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